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八神家の養父切嗣
二十六話:道標
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運用の基礎ばっかりやってるわ。そっちは?」
「こっちはバリアとシールドとフィールド魔法の使い分けと防御の練習をやってる」
「お互い基礎練習ってところね」

 現在なのはが新人達に課している訓練のほとんどが基礎を鍛えるためのものだ。それはどんな任務からでも生きて帰ってくるという最低にして最高の条件を満たすためである。何を為すにしても自分が生きていなければ意味がない。なのはが心に抱く想い故の指導方針は新人達にも伝えられている。

 早く強くなりたいティアナからすればもどかしさを感じるものであるが頭ではそれが正しいことが分かっているために一応の納得を見せている。さらに言えば、その方針を真っ向から破りそうな相棒がすぐ隣にいるので不満を言っている場合ではないのだ。

「でもどんどん強くなってるから、これでもっとみんなを守れると思うんだ」
「……ま、それがあんたの役目だから頑張りなさい」
「うん! どんなことになっても後ろのいる人達だけは守ってみせるから!」
「あんたが先に倒れたら後ろが大変なんだからそこらへんも考えてよね」
「あはは、大丈夫だって」

 何が大丈夫なのか。快活な笑顔を見せる相棒に思わずため息をつく。いつもいつも、自分が危険でも平然と渦中に飛び込んでいくのはいったい誰なのか。この能天気な笑顔の持ち主は分かっていない。いや、分かってはいるのだろうが正す気などこれっぽっちもないのだろう。そうでなければ“みんな”という言葉の中に彼女自身が入っていないように聞こえるはずがない。

「それにしてもヴィータ副隊長って凄いよね。あんなに小さいのに何回も吹き飛ばされちゃった」
「……あんた、怒られても知らないわよ」
「おい、スバル。お前あと十本追加な」
「ええーっ!?」
「ほら、言ったでしょ」

 不用意な発言からヴィータの怒り、といっても小さいものを買ってしまい休憩時間を終わらせられるスバル。そんな若干涙目になっているスバルを脇目にしながらティアナも休憩を終えて立ち上がる。それを見てフェイトと話していたなのはも訓練を再開するためにこちらに向かってくる。

「それじゃあ、再開する? あ、それか何か聞きたいこととかはない?」
「聞きたいことですか? 今は特に……」

 そこまで言ってティアナの頭に基本ばかりで成長したという実感が持てないことが浮かぶ。今までの彼女であれば思ってはいても上司との関係を考えて口にしなかった。しかし、以前からの会話でなのはに対しての親しみが上がっていたために思い切って言ってみることにする。

「いえ、あの……基礎を固めることは大切というのはわかります。でも、今の状況から少しでも早く強くならないとダメだと思うんです」
「そっか。うん、強くなれないと確かに焦るよね」

 ティアナの言葉に
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