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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十六話 遠征軍帰還
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…知ってるよな? この話。……どうにも不安になって来た。戦争は終わったんだけど……。
帝国暦 490年 9月 25日 オーディン 新無憂宮 クラウス・フォン・リヒテンラーデ
陛下への御報告は和やかな談笑の時間で終わった。イゼルローン要塞陥落、フェザーン攻略、ハイネセン攻略の様子や戦いの駆け引きをヴァレンシュタイン、メルカッツから楽しそうに御聞きになられた。そしてヴァレンシュタインがココアが無くなってしまった事、ハイネセンでココアを自ら買った事を話すと声を上げてお笑いになられた。同盟産のココアがなかなか美味しかったとヴァレンシュタインが言うと陛下はフェザーンに遷都すれば予も味わえるかと仰られた。遷都の楽しみが一つ出来たようだ。
報告が終わり退出するとヴァレンシュタインが相談したい事が有ると言って執務室にやって来た。真面目な男だ、今日ぐらいはゆっくりすれば良いものを。もっともこちらも相談したい事が有るのは事実、願ったり叶ったりではある。しかしミュッケンベルガー父娘もこの男を待っていよう、早めに帰さなければ……。ソファーで紅茶を飲みながら話す事にした。
「それで、話とは?」
「同盟領の事です。暴動とまでは言いませんが反帝国運動、反政府運動が発生しているようです」
「やはりそれか。その事は私も聞いている」
面白くない話だ、思わず口元に力が入った。ヴァレンシュタインも渋い表情をしている。
「反帝国運動、反政府運動が皆無である事を望んではいません。そんな事は無理だと分かっています。しかし頻発するのも面白くありません。今後三十年かけて併合する、その障害になります」
「それについては私も同意する。或る程度の安定は必要だ。諦めが悪いとは思うが国に対する想いを無視は出来ん。厄介な事よ」
ヴァレンシュタインが頷いた。
「まさかとは思うが例の連中が動いているのではあるまいの?」
「……閣下は地球教を疑っておいでですか?」
私が頷くとヴァレンシュタインが軽く息を吐いた。
「無いとは思いますが断言は出来ません。同盟政府に注意を促しましょう」
「厄介じゃの」
紅茶を楽しんで飲むという日が来るのは未だ先の様だ。
「それでもルビンスキーが居らぬだけましか。上手くやったの。軍務尚書、統帥本部総長も褒めておった」
冷やかすとヴァレンシュタインが困った様な表情をした。若いのを冷やかすのはなかなか楽しい。
「あれは私では有りません」
妙な事を言う。
「別に犯人が居ると言うか。しかし誰が……」
ヴァレンシュタインが首を横に振った。
「或いはと思う事は有りますが確証は有りません。いずれ確認が取れ次第、御報告します」
「分かった」
妙な話よ。一体誰が……。確証は無いと言ったが……。
「それ
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