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鎮守府の床屋
前編
2.最初の客
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っさと髪を乾かさないと風邪引くぞ」
「余計なお世話だクマ」
「はいはい……かゆいところはないか加古〜?」
「右足のぉ〜……小指の付け根の……クカー……」
「……おやすみ」

 ついに完全に夢の世界にダイブしてしまった加古の髪を丹念に洗った後、もはや生ける屍と化した加古を球磨に任せ、次は暁ちゃんの番だ。

「暁ちゃんお待たせ〜」
「待ちかねたわ! いくら暁が一人前のレディーでも待たせすぎよ! ぷんすか!!」
「ごめんね〜。おい球磨」
「クマ?」
「加古の髪の毛乾かしとけよ。風邪ひくから」
「なんで球磨がハルの助手みたいな扱いになってるクマッ!!」
「いいから自分の髪も一緒に乾かしてこいよ……」

 怒りでアホ毛をグニグニ動かしながら加古の髪をドライヤーで乾かす球磨を尻目に、俺は暁ちゃんの髪をシャンプーしていく。球磨や加古に比べると髪が柔らかいのは、やっぱりおこちゃまだからか?

「かゆいところはないですかお客様〜?」
「右足の裏のかかとから3センチぐらい上のところがかゆいわ!!」

 ……艦娘ってさ。床屋にかゆいところを聞かれたら足の裏を答えなきゃいけない決まりでもあるの?

「そういうところは自分でかいてね〜?」
「わかったわ! だって暁は一人前のレディー!!」
「そうだね〜。さすがは一人前のレディーだ」
「えっへん!」

 一人前のレディーが果たして足の裏をボリボリとかくのだろうかという俺の疑問は付きないが、ともあれ暁ちゃんはさすがは一人前のレディー。どこかの妖怪霧吹き女とはえらい違いだ。

「湯加減はどうですかお客様〜?」
「一人前のレディーには丁度いい温度よ?」
「よかったです〜」
「ん〜〜! 気持ちいい〜!!」

 他の二人に比べてやや指の力を抜いて暁ちゃんのシャンプーをやりとげた俺は、彼女の頭にバスタオルを巻いてあげ、シャンプー台から暁ちゃんをエスコートして散髪台まで連れてきてあげた。散髪台ブースの方では、球磨が居眠り中の加古をシートに座らせて、ドライヤーで熱風を当てて彼女の髪を乾かしている。意外と手慣れた手つきでちょっと驚いた。

「球磨にかかればこんなもんだクマ」
「んじゃ暁ちゃんは一人前のレディーだから俺が乾かしてあげよう」
「やった! やっぱり暁は一人前のレディーなのね!」
「そうだよ〜」
「暁と球磨の扱いの差に、球磨は無念の涙を禁じ得ないクマ」
「いいからお前は早く加古の髪を乾かしてやれよ」
「クーマー……」

 こうして俺と球磨の手によって、暁ちゃんと加古の髪が乾かされていく。二人の髪が乾ききったのはほぼ同時だった。

「はい。暁ちゃんお疲れさまでした!」
「んー気持ちよかったぁあ〜!! 髪もキレイになって、これで一人前のレディー!」
「加
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