第八話「高町なのは」
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。地球の日本語で記された本だ。クロノに「ミッド語か地球か、どちらがいい?」と訊かれて、今はもう身近な地球の本を選んだ。それをクロノに伝えたとき彼は嫌味ったらしい顔になって「言語主張か?」と言った。どうやらミッドチルダの事を知らないと言う事をアピールするために地球の本を指定したと思ったらしい。リオンにそんなつもりは無かったがこれまた若干皮肉を効かせたように「何の事かさっぱりわからんな」とだけ返した。その後クロノが自室に戻ってチッとでも舌打ちするところを想像してここにいる間一番愉快な気分になった。よく拘留されるのでされた人間が感じるのに『孤独』があると言う。孤独感に潰されそうになって自供を始めるケースもある...だがリオンの傍にシャルティエがいる以上そんな心配もない。ゆえに本を落ち着いて読めるほどリオンは気楽だった。
ちなみにリオンが広げた本の題名は『科学探偵ガリレオ冬川』と言う。作者の名前は『火我視乃毛意後』だ。リオンも先日行った書店で眼にしていた。その本はシリーズになっていて作者ともども非常に人気があるとクロノは言った。日柳と言う警察官が難事件にぶつかり友人の科学者である冬川と言う男に協力を求め事件の謎を解き明かすーとそこの直前まで読んだ所で突然呼び鈴が鳴った。来客のようだ。タイミングが悪い、そう苦虫を噛み潰したような顔になってドアのほうへ歩いていった。開ける前にこんな声が聞こえた。
・・・すみません...今、いいですか?・・・
・・・多分寝てるんだよ。また今度出直そう・・・
・・・でも・・・
聞いた事があった声だったので誰だったか、と思い出そうとしてたらドアから離れていく気配がしたのであわてて開けた。
「何だ、何か話でもあるのか?」
諦めて引き返そうとしていた二人は驚いたようでビクッと肩を震わせた。彼女たちは恐る恐るリオンのほうに振り向いた。リオンはそれをみて思い出した、少女のほうは二回も顔を合わせている。少年にも見覚えがあった。少女のほうは名前も記憶していた、確かー
「なのは、と言ったか。」
意外そうな顔をした後首を縦に振った。どうやらリオンが名前を覚えているとは思わなかったらしい。
「でもどうして?私フェイトちゃんには名乗ったけど貴方には...フェイトちゃんから私の事聞いたの?」
まあこれが一般人の対応だろう。リオンは「アイツからは聞いていない」と否定した。
「お前の名前は海上決戦のときに何回か呼ばれていたからな。聞いたのを言っただけだ。」
「あの乱戦の中でそんな余裕があったなんて...」
と少年は絶句していた。彼はリオンの名前は勿論聞いていないからわからないにしても、後で映像を見るまではしっかりと顔すら覚えていなかった。
ただ流石のリオンも
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