第二章
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「今こうしてここで言うか」
「言わないわね」
「何かな」
それこそとだ、また言ったゲオルゲだった。
「吸血鬼以外の売りが欲しいな」
「観光客向けに」
「うちの店だけじゃなくてな」
「この辺りのよね」
「ブカレストのこの辺りでもな」
トランシルバニアではないのにというのだ。
「話題は吸血鬼ばかりだからな」
「他にも作りたいのね」
「見付けるかな」
「とはいっても」
「ああ、うちの店もかなり観光客が来てるしな」
そして料理に酒を口にして楽しんでもらっている、これもまた現実である。
「吸血鬼目当てでな」
「人間の国なのにね」
エレナは冗談めかして言った。
「吸血鬼の話題ばかりね」
「何かいい考えはないものか」
ゲオルゲは難しい顔のままでエレナに言っていた、このことはルーマニア政府の関係者達の間でも議論になっていた。彼等にしてもだ、いささかうんざりとしていたのだ。
「吸血鬼の他のこともないとな」
「本当にそればかりだからな」
「ブルガリアはヨーグルトと薔薇がある」
「ハンガリーなんか街まで有名だ」
首都ブタペストまでだ、東欧も隣国同士でライバル意識が強いのだ。
「負けていられないぞ」
「ドラキュラ伯爵やブラド四世だけじゃ駄目だ」
「こちらの売りを見出すんだ」
「ルーマニアの」
「ハンガリーなんかはだ」
再びこのこの国のことが対象として出た、ブルガリアともそうだがルーマニアはハンガリーとは何かとあるのだ。
「民族衣装も有名だかな」
「ああ、あそこの服はいいな」
「確かにいいデザインだ」
「ブルガリアも負けていないがな」
「ハンガリーは凄いぞ」
「あれでもお客さんを集めている」
それこそというのだ。
「あれは強い」
「ハンガリーの観光の売りの一つだ」
「ルービックキューブもあって」
「それもある」
民族衣装もというのだ。
「あの民族衣装にどう対する」
「それならだ」
ここで一人が言った、若い官僚だった。
「向こうが民族衣装も売りにしてるならこっちもだ」
「我々もか」
「我々も民族衣装を出すのか」
「そうするのか」
「そうしたらどうだ」
これがその官僚の提案だった。
「ハンガリーが民族衣装を出すのなら」
「我々もか」
「ルーマニアの民族衣装を出すか」
「そうしてか」
「吸血鬼以外の売りを出すか」
「そうすべきではないのか」
若い官僚は会議の場にいる面々にまた言った。
「民族衣装には民族衣装だ」
「我々の民族衣装か」
「それを出すか」
「そうしていくか」
会議はその流れに傾いた、そしてだった。
実際にだ、彼等はそれでいくことにした。それでだった。
首都ブカレストで大々的な祭り、建国記念日にそれが行われることになっ
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