第十八話 王子の目
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は、ミス・フランドール。昨夜はよく眠れましたよ。
皮肉を言いつつ、ニヤリと笑った。
「いろいろ、聞きたいことがあったんですよミス・フランドール」
「……うぐ」
「ド・フランドール伯は何を企んでいるのか、知っていたら是非教えて欲しいですね」
マクシミリアンは、にっこりと笑った。
一方、部屋の外では一向に出てこないフランシーヌを心配してメイドがノック後に入室してきた。
しかし、室内には誰も居ない。慌てた、メイドはフランシーヌの名を呼んでも返事は返ってこなかった。
「妙な真似をしたら、この引き金が重いかそれとも軽いか……試してみる事になりますがよろしいですか?」
座った目のままフランシーヌに聞いてみた。
マクシミリアンの演技力が加味されたこの脅しに、フランシーヌは目じりに涙を浮かべ、首を小刻みに縦に振った。
メイドは声を掛けるだけで室内を詳しく調べる事はせず、他の場所へ行ってしまった。
「早々に引き上げたな。信頼されているのか……それとも……ふふ」
「……うう」
「それとも、部屋のものに触ったら鞭で打つ……とでも言ってたのか?」
なじる様にフランシーヌに問う。
マクシミリアンは、味方と判断した者には優しく、敵と判断した者には、たとえ女であっても容赦しなかった。
メイドの気配が完全に無くなったのを確認すると、ピストルを咥えさせた状態クローゼットの外に出てドアに鍵を掛けた。
ここでようやくフランシーヌを解放した。
フランシーヌは、床にへたり込んでゴホゴホと咳き込み、ついには泣き出してしまった。
罪悪感がマクシミリアンを襲うが、心を鬼にして最後に仕上げに取り掛かった。
「ミス・フランドール」
「あっ」
マクシミリアンは、にっこり笑うとフランシーヌの頭を抱き寄せ。
「ごめんね、本当にごめん。僕の本意ではなかったんだよ」
ささやく様に耳元につぶやく。
突然訪れた、死の恐怖に混乱したフランシーヌの心に優しい言葉を掛ける。
飴と鞭……と、言うべきか。もしくは下げてから上げる、人身掌握術を披露した。
幸い、効果は有った様で、フランシーヌは落ち着きを取り戻した。
「大丈夫だよ、フランアシーヌ。僕に任せておけば、万事大丈夫だ」
「殿下……」
何が、どう大丈夫なのか……具体的に説明しない。
だが、フランシーヌはそこまで考えが行き届かず、マクシミリアンを信用しきった様な顔を……
地獄の中で仏に出会った様な顔を向けた。
目の前に居る仏こそ地獄に突き落とした張本人なのだがフランシーヌは気付かない。
「人質である僕が逃げた事で、ド・フランドール伯の計画は頓挫してしまった」
「……」
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