第十七話 アントワッペン騒乱
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ずらに時間を浪費すれば、暴動になりかねない……一人の衛兵が屋敷へ走ろうとした時に異変は起こった。
「おらっ! 今日は門は開かない事になったんだ、散れ散れ!」
「なんだお前ら!? こっちは忙しいんだよ! お前らこそ退けよ!」
門の内側では、人相の悪い男たちが門の前に割り込んで『門は開かない』と、触れ回り、気が立っていた商人たちと一食触発になる。
「おい! 何やってんだ、さっさと退け!」
怒りは波のように他の人々に伝染して行き、所々でケンカが始まった。
「……ケンカが始まった」
「なあ? 俺たち、止めなくて良いのか?」
「ば、馬鹿、俺たち二人だけで何するって言うんだ」
衛兵たちは、止めるべきか迷っていると。
……パァン!
と、銃声が響いた。
一瞬の静寂が辺りを包み、銃声がした方向を、この場に居合わせた全員が見た。
そこには、ケンカでしこたま殴られたせいか、顔中に青タンを作った人相の悪い男が、肩で息をしながら銃を構えていた。
一方で、商人風の男が地面に倒れている、顔を見ると目を見開いたままピクリとも動かない。
「ひ、人殺しだぁ〜〜!」
この言葉をきっかけに、正門前はパニックに陥った。
響く怒声、悲鳴があちこちで起き、逃げ惑う人々が押し合いへし合い、誤って倒れた人を踏み殺す事でパニックを更に助長させた。
アントワッペンの最も長い一日はこうして幕を開けた。
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