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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
番外編・サンタローズの戦士達
第十九話「目覚めし騎士、二人の誓い」
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此処はサンタローズの村。
いや、だった所。

あの悪夢の日より、地図からも消された場所。
そして今、一人の騎士(ナイト)が目を覚ます。


「う、うう……」

ペリ。

ペリ、ペリ、ペリ。

暗闇の中、何かを剥がす様な音が響き、くすんだ青色の膜の様な物の中から一人の男が出て来る。
立ち上がった男の傍らには人が乗る事が出来そうなほどの大きさのスライムが眠っていたが、男の目覚めと共にそのスライムも目を覚ます。

彼の名はピエール。
そう、少年リュカの最初の仲間にして魔物では始めての友達、スライムのピエールである。

8年にも及ぶ眠りから覚め、今こそ彼はスライムナイトとして目覚めたのだ。
その体はスライム独特のぷよぷよした体では無く、見た目も人間の身体その物であった。
ピエールは手を握ったり開いたりし、新たな足で歩き、走り、飛び跳ねたりしている。

「これが人の手足、これが人の身体。これでようやくリュカ殿の役に立てる。そうだ、リュカ殿は。我が主は何処に?」

人の身体を得た事によって、ピエールは言葉を流暢に話せる様になっていた。
尤も、ナイトに進化した為かその話し方は仰々しい物だが。

ピエールは目覚めた時の為にパパスが用意していた服を身に着けるとスライムの体と共に洞窟を出て行く。
友と呼んでくれた主、リュカや仲間のスラリンとリンクスに会う為に。
だが、洞窟を抜けた先に広がっていたのは記憶にあるあの穏やかな風景では無く、荒れ果てた廃墟の村であった。

「………、な、何だ?何なんだこれはっ!?」

日の光を受けて煌いていた小川は黒く濁り、草花の茂っていた大地は地面が剥き出しで粗末な墓が幾つか立っていて、その面影はもはや何処にも無い。
人々が住んでいた家々は打ち壊され、掘っ立て小屋の様なみすぼらしい家が数軒あるだけで、村の中心にあった教会もかろうじて原型を留めているにすぎなかった。
呆然と村の中を歩いていると、何処からか叫び声が響いて来た。

「うわあーーーっ!た、助けて。誰か助けてくれぇーーーーっ!」

ピエールが声を頼りに駆け付けて見ると其処には一人の村人を襲う「さまよう鎧」がいた。

「おのれ!やらせぬぞっ!」

ピエールは足元に落ちていた枯れ木の棒を手に取ると、さまよう鎧に殴りかかる。

『ガッ!?』

元からボロボロだった枯れ木の棒はその一撃で砕け散ったが、さまよう鎧に出来た隙を突いてスライムの巨体が体当たりをする。

『ガアァッ!』

その勢いでさまよう鎧が持っていた剣がその手から零れ、地面に突き立つ。
ピエールはすぐさまその剣を掴むとさまよう鎧に斬りかかる。

「そりゃあぁぁっ!」
『ガァッ!ガガガ……』

ピエールの攻撃を受けて、さま
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