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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十八話 要塞攻防戦(その3)
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するためでしょう。そして、敵を挑発して来いと仰られた」

俺がミュッケンベルガーに停戦を提案したのは戦闘の終了後ではない。戦闘の開始前だ。指揮権の委譲とともに頼んだ。そしてそれの交換条件が敵の挑発だった。

「来年早々に軍を動かす。幸い、帝国軍の今年一年間の損害は驚くほど少なかった。それになんと言ってもこちらが勝っている。軍を動かす事に異論は出ぬはずだ。いざとなれば陛下の戴冠三十周年を持ち出すつもりだ」
「では、アルレスハイムかティアマトですね」
第三次ティアマト会戦か…。

「うむ。決戦場はアルレスハイムとなるだろう」
え、ティアマトじゃない。どういうことだ?
「ティアマトではないのですか?あちらのほうが兵は動かしやすいと思うのですが」
「確かに卿の言うとおりだ。しかし帝国はこの一年、反乱軍に対して損害を与え続けてきた。彼らの宇宙戦力は減少しつつある」
「はい。閣下の仰るとおりです」

「となると、ティアマトに出た場合、反乱軍はダゴンにまで退く可能性が有る。ダゴンは戦い辛い場所だ。それに帝国にとっては縁起の悪い場所でもある。出来れば避けたい」
「たしかに」
「一方アルレスハイムは敵が引いてもパランティアだ。どちらも大軍を動かしやすい。反乱軍にとっては後退する意味がない。それでも後退するならば、アスターテまで押し出す。そうすれば嫌でも反乱軍は出てこよう。またアルレスハイムもパランティアも帝国にとっては縁起のよい場所だ。兵の士気も上げ易い」

なるほど。現状ではアルレスハイムに出るのが最善と言っていい。縁起の良し悪しは余り馬鹿に出来ない。ミュッケンベルガーの言うように兵の士気にもかかわるところが有る。俺は少し原作に囚われすぎていたようだ。それにしても原作で第三次ティアマト会戦が起きたのは、アルレスハイムで大敗を喫したからか。その事がミュッケンベルガーにアルレスハイムではなくティアマトを選択させた…。

「卿は私に願いが有ると言っていたが?」
「はっ」
「副官の事か、反乱軍に戻らなかったようだな」
「ご存知でしたか」
「自分の事ではないと言っていたからな。想像はつく」

「小官のことが心配でならないそうです。誰にでも喧嘩を売ると」
「フフフ、それは悪いことをしたな」
「まことに」
「いずれ埋め合わせをつけよう」
「はっ。有難うございます」

「他に望みはないか?」
「よろしいのですか?」
「うむ」
「では、作戦参謀の任を解いていただきたいと思います」
「…なぜだ?」

「小官は他の参謀たちに好かれていません。今回の件では少々やりすぎました。今後、彼らは感情面から小官の意見に反発する恐れがあります、それが一点。次に今年一年少々無理をしすぎました。最近体調が思わしくありません。疲れやすくなっ
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