第十五話 陰謀の都市
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テ商会を告発した。
ここにアルデベルテ商会と縫製職人らの陰謀は潰える事になったが、話はここで終わらない、職と信頼を失った職人らがアルデベルテ商会に対して逆恨みの感情を持ち、会長のアルデベルテは元職人らの襲撃を恐れて一日中、商館内に篭もっていた。
その後、告発されことで商人としての信頼を失い、商売も上手く行かなくなり、とうとう資金ぶりに行き詰ったアルデベルテ商会は解散の運びとなった。
そんな中、一つの情報がアルデベルテの耳に入った。
「それは本当ですか? 本当にマクシミリアン殿下がアントワッペンにお越しになると?」
その言葉を発した痩せ型の男、アルデベルテは驚きの声を上げた。
かつてはトリステイン商人の総元締めといわれた男、その真鍮製の眼鏡の奥は焦燥で窪み血走っていた。
「はい、数日中にお越しになるそうです」
アルデベルテ商会の番頭の男は、まるで騎士の様に片膝をついて答えた。
かつては100人以上の奉公人でごった返していたアルデベルテ商会の中は閑散としている。
ほぼ全ての奉公人は故郷に帰した為、アルデベルテと番頭他、数人しかいない。
「……これは……チャンスです」
そう言うや、アルデベルテは番頭に近づいた。
「番頭さん、大至急……」
アルデベルテに耳打ちされた番頭は頷くと外へと出て行った。
☆ ☆ ☆
この日、マクシミリアンはアントワッペン市へ向かう為に馬車に乗っていた。
旅の目的は、改革によってアントワッペンを更に発展させた人物に会う事と、領主であるド・フランドール伯にアントワッペンから南に十数リーグの場所にある、廃都ブリージュの捜索許可を得る為である。
許可なんて家臣に任せればいい……と、思うかもしれない、ブリージュでかつて起こった地殻変動はハルケギニアを崩壊させると言われている大隆起の手がかりになる可能性がある。
大隆起の事は最高機密に類する為、マクシミリアンが直接動く事にした。
マクシミリアンは馬車から田園風景を眺めていた。
農作業をする平民たちの顔は良く、少なくとも食うに困っていないことが良く分かった。
健康状態も良さそうな為、初回無料で置き薬をトリステインの全世帯に配布した為、重病以外の病は抑制されている事に手ごたえを感じていた。
「平和だなぁ……」
ポツリとつぶやき、マクシミリアンは座席に寝転んだ。
かなり行儀が悪いがアントワッペンまで暇だったからだ。
(カトレアは、今ごろ何をしているだろうか?)
婚約した男女が頻繁に会うのは良くない……と、いう良く分からない『し
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