気遣い兵長と感謝する私 3
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資料室の扉を開ける。
部屋に、何人かいるのが見えた。
ここは、巨人の討伐数や壁外調査の内容が書かれている報告書等を保管している。
近くの棚の本を見ると、手に持っている書類の数字と近かった。
どうやら、エルヴィン団長から受け取った書類は入口付近だったらしい。
探していくと、持っている書類の分だけ空いている所を見つけた。
数字も合っていたからそこに書類を戻し、もう一つ頼まれていた事、順番通りにしていく事をやり始める。
書類を戻す事だけに集中していたが、本の数字にいざ注目すると余りにも不自然な並びだった。
「うわぁ、何これ。エルヴィン団長の言う通り順序めちゃくちゃだ…… 」
この部屋は、約100年分の資料が保管されている。一つの棚は6段構成。
その中で順になっていない数は、両手では収まらない。
全ての棚の数字を直そうとすると____
「……うん、考えなかった事にしよう」
物凄く時間がかかると分かってしまったけど、忘れる事にして少しずつ書類整理をしていく。
_____
__
「……1、2、3、5、4 」
私は、本を入れ替える。順番通りに直していくと、ある本に目が止まった。
その本は、背とは反対側の小口が顔を出していた。
「何で普通に入れないの…… 」
半ば呆れながらその本に手を伸ばす。
「いっ!!」
痛みを感じた指を見ると、血が滲み出てきていた。
紙で切るのって地味に痛い。
絆創膏を貼ろう__と思ったけど、ちょうど切らしていたんだった。
仕方ない、このまま過ごそう。
眺めていた指から目を離そうとした所、視界に絆創膏を持っている手が現れた。
その手を辿っていくとその人物は__
リヴァイ兵長だった。
「指、切ったんだろ。……貼れ」
「いいんですか?」
「あぁ、その為の物だろう」
「ありがとうございます」
リヴァイ兵長から絆創膏を貰い、指に貼る。
「リヴァイ兵長は、何故ここに居るのですか?」
「ちょっと調べ物をな。チッ、そろそろ会議か。……じゃあな、エネ。怪我気を付けろよ」
え? 今、私の名前……
リヴァイ兵長は立ち去ろうと少し動く。
「兵長、ありがとうございます!」
リヴァイ兵長は動きを止めて一瞥すると、何も言わずに去って行った。
兵長の姿が見えなくなり私は、もう少し一緒に居たかったな……と思いながら書類整理を再開した。
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