褒め兵長と真面目な私 3
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呼ばれた方向に顔を向けるとクリスタとその横にリヴァイ兵長がいた。
「リヴァイ兵長が呼んでるよー、エネちゃん!」
「今行きます!!」
私は返事をすると木を蹴り、立体機動を使って地面に降りる。
二人のいる所まで駆けている間、私は考え事をしていた。
何でクリスタといたんだろう。
私に用って何だろう。
何か機嫌を悪くするような事でもしただろうか。
そんな中、一番占めていた思いは__
クリスタがリヴァイ兵長の隣にいるなんて
ずるい。
あぁ……
完全に嫉妬だね。
二人の所に近付くにつれて、私は様々な思いを箱の中に入れて蓋をする。
開かないように鍵をかけて。
「遅れてすみません! 何でしょうか、リヴァイ兵長」
「いや、いきなり呼んですまない…… 」
リヴァイ兵長はチラッとクリスタを見る。
「あ! では、私は戻ります。失礼します!」
クリスタは、リヴァイ兵長の視線を察したのか皆のいる方へ走っていった。
「あの、私をお呼びした理由は……?」
私は、おずおずと訊ねる。何故、リヴァイ兵長に呼ばれたのか分からなかった。
兵長は口を開く。
「実は、午前中の対人格闘を遠くから見ていてな。他の奴等はだらしねぇが……
何人かは真剣に取り組んでいる姿が見えた。その中でも特に目立っていたのはお前だ」
「……兵長、見にいらしてたんですね」
「そうだ。……それにさっきの立体機動もガスを余り使ってねぇし、一瞬の模型も見逃さずにいた。
ガス配分も動体視力も言う事はない。
速度も遅くねぇし、削ぐ深さも悪くない。……完璧だ」
「ありがとうございます!!」
リヴァイ兵長が私を見ていたなんて……!
「すまないが、名は何と言う?」
「エネと言います!」
「そうか。エネよ、このまま維持していけ。…………次も頑張るんだな」
「はい! 頑張ります!!」
リヴァイ兵長が褒めるなんて、滅多にない。
それが、私に向けての言葉だなんて……
凄く嬉しい。
見上げると雲一つない青空は、まるで今の私の心を映しているかのようだ。
またリヴァイ兵長に褒められるように、これからも頑張ろう!
そう決意して、私はリヴァイ兵長にお辞儀すると背を向けて歩き出した。
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