褒め兵長と真面目な私 1
[2]次話
850年。私は調査兵団に入った。
訓練兵の時にやっていた対人格闘術や立体機動の訓練は、調査兵団になっても必要で訓練する時間がある。
今日はその対人格闘術と立体機動の訓練だ。午前が対人格闘で、午後は立体機動。
色んな人と出来る対人格闘術が楽しみで少し早めに訓練場所へと向かった。
今日は誰と組めるのか、わくわくしながら掲示物を見る。
そこには、こう書かれていた。
____
本日の対人格闘術は、男女ペアで行う。
組む相手は各自で決めるように。以上。
____
男女で組むのかぁ。
相手は好きに決めていいみたいだね。
今日は誰とやろうかな。
貼ってある紙を見ながらそんな事を考えていると、一人の少年が近付いてきた。
「よー、エネ。今日のペアは……男女か。ミカサは強すぎるし、誰と組もうかな」
そう言って私の隣に来た少年は、巨人を駆逐する宣言をしたエレンだった。
そういえば、まだエレンと組んでいない!
「おはよう、エレン! よかったら私とペア、組まない?」
「エネと? あぁ、そういやまだ組んだ事なかったな。いいぜ、組もう」
快く承認してくれたエレンのおかげで私の相手はすぐに決まった。
暫くして訓練が始まり、皆それぞれペアと組んでいる。勿論、私とエレンも。
「はぁっ!」
私の渾身の一撃はエレンに軽々と避けられる。だけど、避けすぎたのかバランスを崩していた。
「おっと…… 」
今がチャンス!
そう思った私は、すかさず次の攻撃を繰り出す。
ところがエレンは、それすらも避けていて気がついた時には
__ドンッ
という音とともに背中に少しの痛み。目の前には、エレンと青空が映っていた。
瞬時に私は倒されたんだ、と理解する。
エレンは、心配そうに見つめていた。
「大丈夫か? エネ」
「うん、大丈夫だよ。加減してくれたんだね、ありがとう」
「あぁ。じゃねぇとお前、折れそうだしな」
「失礼だなぁ。私そんなに、やわじゃないよ。よし、もう一回! もう一回やろうよ、エレン!!」
「朝から元気だなー。周りは皆、真面目にやってる奴は居ねぇのによ。いいぜ、本気で来いよエネ!」
周りの人達を見ると、エレンの言う通り真剣にやっている者はいなかった。
そんな中、エレンの声を聞いて私は本気でエレンに立ち向かう。
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