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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#29 国境を越えて
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〜国境の砦 カイツール〜


 ここは 南ルグニカ平野の国境線状にある砦。
 国境を挟んで、キムラスカ軍とマルクト軍が駐留する非武装地帯となっている為、基本的に争い事はここでは皆無だ。……だが、ここである少女と門番が 揉めていた。

 少女は、勿論アニス。

「だーからー 証明書も旅券も無くしちゃったんですぅ。 お願いします! 通してください!!」

 原因はアニスにある様子だった。この砦を通過する事は、つまり国境を越える、と言う事だから、旅券や証明書は絶対必要だ。例外をひとつでも作ってしまえば、今後にも影響を来すことだろう。

 アニスは、どうにか通して貰おうと、必死に頼み込むが、はっきり言って無理だろう。


「残念ですが、お通しできません!」

 門番にはそう一蹴。何度も同じ答えだった。

「ふみゅう…」

 アニスは、漸く諦めた様で、頭と肩を落としながら離れていった。
 だけど、ただでは済まさないのがアニス。完全に、本性をむき出しにした。

「月夜ばかりと思うなよ………」

 完全な闇。ダークな部分の表情を、出しながら、アニスは門番を睨み付けた。正直、怖い。

「アニス〜? ルークに聞えちゃいますよ?」

 完全なダーク・アニスが顔を出していた時、直ぐ側で聞き覚えのある声が聞えてきた為、アニスは振り返ってみると、そこには皆がいた。そう、たった今、皆 カイツールに到着していたのだ。

「きゃうわーーー? アニスの王子様ぁぁ? ルーク様! ご無事で何よりでしたぁ?」

 アニスは、先程の顔があっという間に消え去ると、完全に表情を変えて、ルークに飛びついた。その変わり身の早さは驚嘆である。

 それを、目の当たりにしたガイはと言うと、完全に引いていた。アニスを知る皆が色々と言っていた意味がよく判った様だ。

「げげッ… 女ってこええ…」
「ね? 無事だって言った理由大体分かったでしょ?」
「あっ…ああ 納得だわこりゃ…」

 改めて本性を目の当たりにして、アルとガイが苦笑しあっていたのだった。



「アニス、 親書は無事ですね?」

 因みに、ジェイドはアニスとは随分長い為、対して気にする様子もなくいつも通りだ。今必要なのは、親書だから、それについてを尋ねていた。

「あっ 大佐ぁ! もちろんです! ここに有ります!」

 アニスは、トクナガを指差して答えた。どうやら、その人形の中に隠している様だ。
 それを見たイオンは、一歩前に出た。

「ありがとうアニス、大変だったでしょう?」

 イオンが、これまでの事を思って、アニスに労いの言葉をかけた。

「うんっ。だよね。アニス、お疲れ様。神託の盾(オラクル)騎士団を振り切って、更にあの川も
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