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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第十六話「ヘンリー、孤独な目の王子」
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年後、旅の途中に息子のヘンリーを連れて城に立ち寄った時、魔族による襲撃があった。
ラインハットの地を護る為にに先陣を切って闘ったヘンリーの父だが、敵を退けるのと引き換えにその命を落としてしまった。
既に母親を亡くしており、行く当ての無いヘンリーはレナスに引き取られ城で暮らす事となった。
だが、それを良しとしない王妃はデールの地位を奪いかねないヘンリーに辛く当り続けている。
実はレナス王がパパスを呼んだのもその事に関してであった。
―◇◆◇―
リュカが玉座の間を後にして少しした時、レナス王は態度を変えてまるで旧友にでもあった様な口調になる。
「はぁ〜、お前相手にあの様な話し方は肩がこっていかん」
「ははは、仕方あるまい。何しろ今の私は少し名の売れているだけの一介の剣士にすぎぬのだからな」
「まったく…兄上とは違い、お前は一国の王だというのに……。困った男だよ、デュムパポス・エル・ケル・グランバニア国王陛下」
「……私にその名を名のる資格など無いよ。マーサを救う為とはいえ、国を捨てた男にはな」
ヘンリーの父がラインハットを出奔し、レナスが王位を継いだのと、パパスが前王崩御で王位を継いだのはほぼ同じ時期の為、二人は国王同士としての交流があった。
そしてサンタローズに戻ったパパスを呼び出したのは兄の遺児、ヘンリーの事であった。
兄の子で、息子デールよりも年上とはいえさすがにヘンリーに王位を譲る気は無かったが周りは気弱なデールより行動力に溢れ、性格はきつめだが隠れた優しさを見せるヘンリーを次期国王にと望む者は多かった。
だがそれが妻である王妃は気に入らないらしく、ヘンリーに辛く当たる事が多く見受けられていた。
なのでこのままヘンリーを城に留めて国を割る様な事になるよりはパパスに預けて国から離すのが得策だと思っていた。
何よりもヘンリー自身が城から離れる事を望んでいた。
このまま放っておけばいずれは兄の様に国を飛び出してしまうであろうし、それよりは勇猛で名の知られているパパスに預けるのならば周りの者達も反対はしないだろうと考えての事だった。
「なるほどな」
「あの子は本当に兄上そっくりだよ。国王となる資質は十分なのに身内同士での争いを良しとせず自ら身を引く。まあ、心から自由を求めているのも確かだがな」
「分かった、引き受けよう。どうせ暫くはサンタローズに腰を落ち着けるつもりだったからな。それにリュカにも良き友になるだろう」
「ああ、よろしく頼む」
その頃リュカは、何故か中庭でそのヘンリーと向き合っていた。
お互いに武器を握りしめて。
(何でこうなったんだろ?)
事の次第はこうである。
・給仕見習いの少女が運んでいた壺を落として割ってしまった。
・うろたえ
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