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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十七話 要塞攻防戦(その2)
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ネブルク少将を殺そうとした、そうではありませんか」
「……」

「貴官らが、リューネブルク少将の亡命後、辛い立場に置かれた事は想像がつきます。しかしリューネブルク少将とて帝国で安寧を得たわけでは有りません。それなりに辛い思いをしてきたのです。それは判っていただけませんか」
ヴァレンシュタインは本気でシェーンコップを説得している。この男とリューネブルクはどういう関係なのだろう。亡命者と若き英雄、ちょっと見当がつかない。

「……リューネブルク少将。どうやら貴官はよい上官を得たようだな」
「小官はリューネブルク少将の上官では有りませんよ」
「准将の言うとおりだ。上官ではない、今はな」
「なるほど、今はな、か」

「同盟に居たとき、俺には居場所が無かった。才能が有れば忌諱され、才能が無ければ侮蔑される。よき上官にも恵まれず、ローゼンリッターの未来にもなんの展望も見出せなかった。それが嫌で帝国に亡命した。だが帝国でも居場所が無い事では条件は同じだった。なんのために亡命したのか、毎日考え続けた…。しかし今は違う。俺にも居場所がある」
つぶやくような声だった。しかし不思議に耳に届いた。
「……」

「シェーンコップ、貴様はどうだ。居場所が有るのか?」
「……さてな」
「居場所が欲しくなったら何時でも来い。帝国にはな、馬鹿かと思えるほどのお人好しがいる。貴様の一人ぐらい楽に受け入れてくれるだろう。なんだったらローゼンリッターごとでも構わんぞ。貴様らの腕がどれほどになったか、俺が試してやろう」
リューネブルクは本気でシェーンコップを誘っている。同盟では辛くなるだけだと。

「ふざけるな。三年前ならいざ知らず、今なら俺のほうが上だ」
「そうか、多少は腕を上げたか、ハハハ」
リューネブルク少将は良い上官を得たらしい。しかしシェーンコップ大佐、彼はどうなのだろう。いつか巡り会えるのだろうか。彼にとってのヴァレンシュタインと……。





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