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ディアンドル
第一章
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                 ディアンドル
 ドイツ南部のバイエルン州は山と森が多い、そしてその二つが実に似合う場所だ。
 そのバイエルンのアウグスブルグにいるワルトラウテ=シュライヒは女子高生だ、いつも明るい金髪碧眼が眩しい少女だ。
 長めの髪は伸ばしうっすらとしたメイクをしている。可愛らしい唇は紅だ。
 今は同級生のジークフリート=グリンガルと交際している、ジークフリートはその名前に相応しく見事な金髪と強い光を放つ青い瞳に彫のある顔の青年だ、陸上部に所属していて長身で引き締まった身体つきで頭脳明晰でもある、だが。
 実はその性格は煮え切らなくてだ、よく迷ってワルトラウテを困らせる。それは今のデートの時もであった。
「何を食べようかな」
「パスタかピザか」
「どっちにしようか」
 店に入って言うのだった。
「一体」
「どっちでもいいでしょ」
 ワルトラウテはすぐにだ、ジークフリートに言った。
「何なら両方でも」
「パスタかピザでも」
「両方でもいいでしょ」
 またこう言ったワルトラウテだった。
「それでどっちもよ」
「食べればっていうんだね」
「そう、いいでしょ」
 別にそれでもというのだ。
「食べればいいんだし」
「それじゃあ」
「そう、両方ね」
「じゃあパスタは」
 今度はこんなことを言い出したのだった。
「何にしようか」
「スパゲティでしょ」
「いや、マカロニやフェットチーネもあるしね」
「じゃあスパゲティでしょ」
「何でそれなのかな」
「だってパスタっていえばね」 
 第一にはというのだ。
「スパゲティでしょ」
「まあ言われてみれば」
「じゃあスパゲティよ」
「それなんだ」
「スパゲティとピザね」
 ワルトラウテは言い切ってだ、ジークフリートに告げた。
「その二つね」
「それじゃあスパゲティのソースは」
 また言い出すジークフリートだった。
「何にしようかな」
「もう、何ていうか」
「僕が迷ってるって?」
「そうよ、スパゲティはもうトマトと茄子よ」
 メニューを開いてぱっと目に入ったものを選んだ。
「それ、どうせピザでも迷うんだし」
「だからなんだ」
「ピザも私が決めるわね」
 こちらはベーコンのピザにした、それを二つずつ頼むことにしてだ、ワルトラウテはお店の人にワインも一緒に頼んだ。
 そしてだ、食べながらだった。こうジークフリートに言うのだった。
「優柔不断はね」
「僕の悪いところっていうんだね」
「もう迷わないの」
 それこそと、というのだ。
「何があっても」
「ワルトラウテは何でもすぐにl決めるね」
「即断即決よ」
 まさに電光石火で、というのだ。
「人間迷ったら駄目よ」
「じゃあ僕みたいなのは」
「駄目よ、考える
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