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ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第220話 霜の巨人の王
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、直ぐ隣でいたリーファがくいくい、と袖を引っ張って囁いた。

「ねぇ、おにいちゃん。あたし、なんか、本で読んだような……。スリュムとフレイヤ。……盗まれた宝……、うーん、あれは、ええと……」

 リーファが記憶再生を必死にさせている時、最愛の妹には悪いが、こんな時は 知識の宝庫。瞬間記憶能力者? の心強い 銀髪の勇者様のお言葉を承った方が、妹の記憶もしげきされるのではないだろうか? とキリトは考える。
 そこで、リュウキに打診をしようと、視線を送ろうとしたのだが、今リュウキの立ち位置は、部屋に侵入する時にレイナの傍へといたから、やや 自分とは離れてしまっているのが失敗だった。
――いや、決戦の前の不安を、少しでも愛しの人の傍で、和らげようとした、歌姫(レイナ)の行動を咎めようものなら、此処から帰ったら本気の本気で、隕石流星群を、頭に打ち下ろしそうな気がするので、決して口にしない、これ以上考えない様にしない、とキリトは首をぶんぶんと、振った。

 やや、その行動に訝しむリーファだったが、何も言えなかった。
 何故ならすぐ後ろで、フレイヤさんが毅然と叫んだからだ。

「誰がお前の妻になど! かくなる上は、剣士様達と共にお前を倒し、奪われた物を取り返すまで!」

 その毅然とした叫び。それも心地よく感じているのか、その大きな髭ヅラが愉快そうに、醜悪に歪む。

「ぬ、ふっ、ふっ、ふっ。威勢の良いことよ。流石は、その美貌と武勇を九界の果にまで轟かすフレイヤ殿。しかし、気高き花ほど、手折る時は、興深いというもの……小虫どもをひねり潰したあと、念入りに愛でてくれようぞ……、ぬっ、ふふふふ……」

 その髭面を撫でながら発する台詞。
 正直な所、これが本当に自動クエスト・ジェネレータが書いた脚本なのか? と疑いたくなるほど、全年齢向けのゲームで許されるギリギリの線にまで攻め込んできている、と感じるのは仕方がない事だった。だから、女性陣が一様に顔を顰めて、女の敵! と認識してしまうのも無理はない。曰く『きもいっ!』『うわぁぁ……』『ヒゲっ!』『女の敵!!』と其々が呟き、レイナも『りゅーきくんっ!! やっちゃって!!』と憤慨しており、リーファに至っては、『お兄ちゃん、こいつに言ってやって!!』と全ての代弁をキリトに委ねる。

 中でも一番反応したのは、当然ながら フレイヤにゾッコンである、クライン。

「てっ、てっ、手前ェ!! させっか、ンな真似!! このクライン様が、フレイヤさんには、指一本触れさせねぇ!!」

 とぶるぶると左拳を振るわせながら喚いた。



――こんな空気の中で、見せるのはどうかなぁ……。



 と、一瞬だけ、リュウキは考えた。
 展開が容易だが読めそうなのだ。これ(・・)をみせればど
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