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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十五話 広域捜査局第六課
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の特定は出来ずという事で未解決事件だな。最有力容疑者は地球教という事になるだろうが異論も出るだろう。後世の歴史家、推理作家に娯楽を与えたと思えば良いさ。精々楽しんでくれるよ」
キスリングが“俺も疑われるんだろうな”とぼやいた。気にするな、最大の黒幕は俺かリヒテンラーデ侯になる筈だ。その事を言うとキスリングが辛そうな顔をした。気にするなよ、キスリング。悪いのは恨みを買い過ぎたルビンスキーだ。

「ルビンスキーは野心が強過ぎるし小細工もし過ぎる、扱いが難しい。それにフェザーン人の恨みを買い過ぎている。フェザーン遷都を考えれば彼を受け入れるのはメリットよりもデメリットの方が多い」
キスリング、ボイムラー、ヴァレリーが頷いた。トリューニヒトは困惑の表情だ。まさか帝国に身を投じたのを後悔してるんじゃないだろうな、がっかりさせるなよ。

「元帥閣下?」
「何です、ヘル・トリューニヒト」
「閣下の御仕事は一体……、如何いう御仕事をなさっているのです?」
なるほど、疑問に思ったか。そうだよな、自分でも奇妙な存在だと思うよ。同盟じゃ俺みたいな人間はいないだろう。

「色々ですよ。帝国軍宇宙艦隊司令長官、辺境星域開発の責任者、帝国領内の治安維持、国政改革にも絡んでいます。要するに何でも屋ですね、年が若いから使い易いらしい」
「はあ」
「どの分野で協力が出来るのか、よく考えておいてください。どの分野で協力していただいても結構ですよ」
トリューニヒトが“分かりました”と頷いた。顔色が良くないな、少し疲れたのかな。

「ところで来年には遷都を行うつもりなんだがフェザーンの治安は維持されていると見て良いのかな?」
俺が問い掛けるとキスリングとボイムラーが顔を見合わせて頷いた。
「問題は有りません。拘束した長老委員会のメンバーから地球教の残党の情報を得ました。かなり潰したと思います。もはや大規模なテロは不可能でしょう。フェザーン人達からも連中の所為でフェザーンは滅んだと嫌われています」
つまり民間の協力者は得難くなっているという事か。

「俺とボイムラー准将はこのままフェザーンで地球教対策に従事する。心配はいらない。それに広域捜査局の五十人もいる」
キスリングが皮肉な笑みを浮かべた。
「未だフェザーンに居るのか?」
「そうらしいな、アントンからはそう聞いている」
憲兵隊が動く、その陰で広域捜査局第六課が地球教に忍び寄る……。怖い話だ。

現状では治安に問題は無いようだ。遷都への第一関門は突破したと判断して良いだろう。ではレムシャイド伯に会いに行くか。行政面で問題が無ければオーディンに戻って遷都だな。



帝国暦 490年 8月 10日    フェザーン 銀河帝国高等弁務官府   ギルベルト・ファルマー



「意外に
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