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竜から妖精へ………
第9話 ゼクト vs エルザ
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!!」

 エルザの換装シーンは ミラの時同様に、何処かワクワクしてしまう。変身をしているも同然だから、と言う年相応の気持ちがゼクトにも勿論あるからだ。

 だからこそ、僅かながら、攻撃のスピードが落ちていた。その一瞬をエルザは見逃さない。

「そこだっ!!」

 飛翔の鎧。それは、その鎧を身に纏ったものの素早さを向上させる鎧。まさに《飛翔》の名の如く、空を翔るかの様に移動速度を上げる。
 それは、移動速度だけでなく攻撃の速度も。雷速は確かに早いが、制御が難しい。自分自身から離れた攻撃を更に正確にコントロールし、ゼクトに当てるのが非常に難易度が高いからだ。

 だからこそ、エルザは攻撃の方法を変えた。
 自由自在に動かせる。日々、研鑽を積んだ剣術へと変えたのだ。
 
 隙を見せたゼクトに剣で斬りつけた。《疾風斬》と言う剣技だ。

「って! エルザ!? マジで、斬るなんてやりすぎだろ!?」
「……いつもやる事無茶苦茶な気がするが、基本的に素手だったし。今回は流石になぁ…… 大丈夫かな? ゼクトは」
「あわわわわ………」

 斬るシーンなど、ギルド内では殆ど無い。と言うか 危ない。喧嘩がそこまで発展しようものなら、即座にマスターが止めに入るだろう。だけど、今は勝負だ。だからこそ、エルザは熱くなってしまったのかもしれない。

 大多数が、ゼクトの心配をしてくれていた。……だが、それは全員ではない。当然、ゼクトの事を心配してないものもいる。……心配をする必要がない、と思っている。

「何言ってんだ……皆して」

 その内の1人がミラだった。遠目で見ていたから、よく判った様だ

「えっ!? どう言う事ミラ姉? だって、今ゼクトが……」

 ミラの隣に移動したリサーナは、そう訊いていた。
 その隣には、ナツもいた。痺れて倒れている間に、ずっとリサーナが面倒を見ていた様だ。

「こ、ら…… ゼ…クト! 簡単に負けんじゃ……。あう……まだ、痺れ……とれね……」

 ただ、まだ体中が痺れている様だから、大きな声を上げたりは出来ない様だった。

「はぁ……だから、ナツもリサーナもよく見てみろって。エルザの表情。それだけで、判るから」

 ミラはエルザをさしながらそう言う。

「え?」
「……えぇ?」

 今までは、ゼクトの方を。斬られた、と思ったゼクトの方を見ていた2人は、向きを変えて、エルザの方を、言われた様にエルザの顔を見た。
 ミラの言うとおりだ。それだけで、よく判った。今、エルザは、戸惑って、そして驚いている。斬ったなどとは思っていない。それが表情に現れていたのだ。



「ッ……」

 エルザは、そう驚いていた。

 飛翔の鎧の効果、それは、字の如く己の速度、その
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