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竜から妖精へ………
第9話 ゼクト vs エルザ
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なったのは良い事だ。……次は私の番だなっ!」

 エルザが笑顔で立っていた。エルザが後ろにいる事を認識したミラは、一気に顔色が変わる。

「うっ……(しまった……エルザに…泣いてるとこ……それに負けたとこも……)」

 ミラは、エルザの顔を見るなり露骨に嫌がってた様だ。ミラ自身もエルザの事をライバルとしてみているから、自分の弱い所を見られたくなかったのだ。

「うん。わかったよ。……ん? ミラ? どうしたの?」

 ミラが、先程の笑顔から一転して、難しい顔? をしていた為、ゼクトは気になって聞いていた。

「い…いやっ なんでもない! そっ…そーだ! ゼクトっ!」

 ミラは、何かを振り払う様に、力を入れると、ゼクトに向かって、指をビシッ! っと突きつけて言った。

「ゼクトは私に勝ったんだからねっ!? エルザなんかに負けたら許さないからッ!」

 自分に勝ったのだから。エルザには負けない。
 ミラは、そう信じる様に言ったのだ。――……或いは……。

「あ……あはは、うん、頑張るよ」

 ゼクトは、突然の剣幕だったから、少しだけたじろいでしまったが、最後には苦笑いしていた。

「む……なんか(・・・)?」

 エルザはと言うと、戦う相手はゼクトだった筈なのに、その闘気……いや、殺気にも似た気迫を ゼクトにじゃなくミラに向けた。
 
 どうやら、いつものスイッチが入ってしまった様だ。ギルド恒例。最強の女の子2人の戦うスイッチが。



「何だよ!!」
「むううう!!」



 あっという間にゼクトの事を忘れてしまったエルザ……、いや ミラもかもしれない。
 ゼクトを押しのける様に、ミラとエルザのにらみ合いが始まったのだ。

「え……っと……」

 ゼクト自身は、ちょっと対応に困っていた。
 困っていたのだけど、そんな中でも……わかったこともある。


 初めてみた時、エルザとミラの2人は……すっごく仲が悪そうに見えたんだ。色々と口喧嘩もしていたから。

 だけど、今はそんな印象は全くない。……凄く仲がよさそうに見えるんだ。


「なっ? 大体わかったろ? ゼクト」

 そんなゼクトのの考えを悟ったように、話しかけてきたのはギルダーツ。

「え…?」

 ゼクトはきょとんとしてた。何を言われているのかが判らなかったから。

「――……これが仲間ってヤツだ。たまに喧嘩して……、馬鹿騒ぎして……、 一緒に仕事やって……ってな具合でな? お前が言ったみたいに、なるわけ無いんだ。それに、『喧嘩するほど仲がいい』って言葉もあるからな」
「あはは……うん。わかった」

 ギルダーツの言葉を訊いた、ゼクトは良い笑顔だ。それは歳相応のものだった。


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