lost story2−『辿り着いた名も無き英雄』−
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のチーター達の存在を、真正面から叩き潰す存在が居る。異能に頼り切った僕達は、きっと彼には勝てないだろう」
「貴、様が勝て、ないと明げ、んするのは珍し、いな。どれ程のち、からを持った者だ?」
「逆だよ。彼は『異能』なんて呼べる者は何一つ持っちゃいない。彼の武器はその人間の限界まで鍛え上げた馬鹿げた身体能力と、たった一つの絶対的な『体質』だけ────おっと。丁度良い、来客だ」
場は《白亜宮》本殿から、門前へと移る。
《白亜宮》を覆う闇は、世界によって齎された絶対的な隔壁である。本来ならば見つける事も叶わず、触れれば如何なる存在であろうと絶命を果たすパンドラの匣。
その障壁が、真正面から音も無く破られた。
まるで存在そのものを打ち消す様に。
まるで存在そのものを否定する様に。
その『左腕』は、あらゆる異能を否定する。
《滅び》が男に喰らいつく。
その指先に触れた瞬間、《滅び》は魂を霧散させる。
無尽の刃が形成される。しかしそれは、男の傷付ける前に消失する。
左腕は、『世界の使い』をいとも簡単に否定した。
やがて、門へと辿り着く。
門に秘められし性質は《不壊》。そして《不開》。
指先が門に触れる。
そして門は『壊れ開く』。
男を阻む力は、全て霧散した。
コツン。コツン。と、再び大理石を踏み締めるブーツの乾いた音が、玉座に響く。
鍛え上げられた肉体、その体を覆うスーツ、長身のその風貌は、ただそれだけで全てを威圧する。
最も奇妙だったのは、その頭に巻く『目隠し』。しかしそれは、『彼』の妨げとは成り得ない。
──そう、彼の英雄こそは。
「──待っていたよ、名も無き英雄」
「──全ての原因が何をほざくか、たわけ」
かつて一度、《世界を救った英雄》。無銘であった。
世界転生まで、あと31時間。
《滅びの依り代》の完成まで、あと29時間。
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