第十六章 ド・オルニエールの安穏
第六話 ゆめ
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体を起こし、ベッドの端へと移動すると落ち着いた様相でベッドから降りると。
後ろを向き、しどろもどろに何か言っている男にふらふらと力ない動きで近づいていき。
「……っん〜ふふっ」
「―――ッッ!!?」
ガバリと抱きついた。
アンリエッタに抱きつかれた男は、ビクリと身体を震わせ硬直させる。
「あ、あの……あ、アンリエッタ?」
「んもう……言ったじゃないですか、二人っきりの時は“アン”ですよ……もう、夢の中でも真面目なのですから……うふふ、でも、感触もこんなにはっきり感じられるなんて、これが夢だなんて信じられません……」
「は? え? あ、アンリエッタさん……そ、その、これはゆ―――っぐぅ?!」
「っん、ぁぅんぁ……」
とんでもない勘違いをしていると男が気付き、正気を取り戻させようとアンリエッタに向き直る男だが、何かを言い切る前にその口は塞がれてしまった―――アンリエッタの口によって。
僅かに開いた唇からヌロリと侵入してくる小さく柔らかいナニカ。しかしそれは男の口内に侵入してくると、獲物に襲いかかる蛇のように男の舌を絡めとった。
「っ、っ、っん、ぁ」
「んぐ、っぁあ、んぶ」
互いの合わさった唇の隙間から、粘性を帯びた水音が響き、くぐもった声が漏れ聞こえてくる。男は必死に押し返そうとするが、わざとなのか偶然なのか、アンリエッタはその度に身体を揺らし、男の手を動かす先に己の敏感な場所へと誘導した。結果、男の手が身体に触れる度にアンリエッタの口から嬌声が漏れ、その度に男は慌てて手を離すを繰り返していた。
そして時間と共にアンリエッタの動きは更に過激に、後戻りが出来ない方向へと走っていく。
それはもう、全速力で、他を圧倒する勢いで。
「―――っぐぅ」
「ぁんっ!」
何時の間にか床に押し倒された男は、しかしやっとのことで下腹部に跨りのしかかってきていたアンリエッタの身体を自身から引き剥がすことに成功した。
口が自由になり、荒くなっていた呼吸を落ち着かせながら、男は自分の身体に跨って見下ろしてくるアンリエッタを引きつった顔で見上げた。
「あ〜……淑女としてこの体勢は少しばかりはしたないと思うぞ」
全く、これぽっちも少しばかりじゃないがなと内心で考えながら、男は何とかこの危機から逃れようと必死に思考を巡らせる。
しかし、アンリエッタはそのような暇は与えなかった。
「だめ、ですよ。こんな現実みたいな夢を見ているのですから、何時もと同じ―――いいえ、せっかくです。もっと凄い事をしましょう」
「あ、あの、アンリエッタさん」
ぞくぞくと嫌な予感が背筋を駆け上がる感触に、男が悲鳴じみた声を漏らす。跨るアンリエッタは淫らに蕩けた顔で男を見下ろしながら、ぺろ
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