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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十四話 慢心
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は軽く目礼すると去っていった。
「キルヒアイス、俺が慢心していると思うか」
「私はそうは思いません。ですが、ヴァレンシュタイン准将にはそう聞こえたかもしれないと思います」
ラインハルト様は少し不満げにヴァレンシュタイン准将の後姿を見た。准将は副官と話しながら歩き去っていく。ラインハルト様にとっても准将はやはり気になる存在なのだろうか。


■ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ

「閣下、先程の方がラインハルト・フォン・ミューゼル少将なのですか?」
「そうです」
「随分若いのですね」
そう確かに若かった。それに物凄い美少年だ。でも准将とは余り仲が良くなさそうに見えたけど… 

「今年、十八歳です」
准将より若い! やっぱり貴族って違うんだ。
「中尉。少将はグリューネワルト伯爵夫人の弟なのです」
グリューネワルト伯爵夫人! じゃ皇帝の寵姫の弟。
「それで出世が早いんですか?」
「中尉なら、皇帝の寵姫の弟だからといって手加減しますか?」
そんなものするわけない。

「いえ、しません」
「少将は天才です。実力で今の地位を得ました」
天才……。
「失礼ですが、閣下とどちらが上でしょう」
「私など相手になりません。比べるほうが愚かですよ」
ほんとうかしら。だって……。

「それより、先程ミューゼル少将が言ったポイントをルックナー提督、リンテレン提督、ルーディッゲ提督に伝えてください」
「はい」

■ジークフリード・キルヒアイス

 一瞬で戦況が変わった。私たちは敵を引きずり出し背面展開から攻撃を加えていた。今回も完勝だと思った直後、私たちは上下後方から新たな敵に包囲されていた。
「キルヒアイス、してやられた」
「ラインハルト様、落ち着いてください。何とか切り抜けましょう」

切り抜けられるだろうか? こちらが三千隻に対し敵の戦力は一万隻近いだろう、油断したのだろうか。ヴァレンシュタイン准将の言葉が思い出される。”まるで遊猟でもなさっているようですね”、”敵も馬鹿ばかり揃っている訳ではないでしょう” アンネローゼ様、申し訳ありません。私は貴女との約束を守れないかもしれません。

 何とか切り抜けようとするが戦力が違いすぎる、どうにも成らない。ラインハルト様も唇を強く噛み締めている。ラインハルト様が私を見た。瞳には絶望の色がある。私の瞳にも同じものが有るだろう。
「援軍です! 援軍が来ました!」
「なに、本当か」

確かに味方の来援だった。三千隻ほど艦隊が三個艦隊、包囲の外側から敵を攻撃している。
「よし! 味方と連動して切り抜ける。砲撃を下にいる艦隊に集中せよ!」


 包囲を切り抜けた後、ラインハルト様は来援した三人の提督ルックナー、リンテレン、ルーディッゲに連絡を入れた。それ
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