第3章 黄昏のノクターン 2022/12
36話 黒刃の鷹、赫眸の将
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に、敵に回さなくてよかったと思わされるのは俺だけだろうか。
「さて、このまま放置すれば船を回収されてしまう事もあるだろう。だから、今回は少し趣向を凝らしてみたのだが……まあ、お楽しみとしよう」
僅かに口角を上げたコルネリオは、二人の側近に指示して船着き場に部下を向かわせた。
ティルネルのポーションが功を奏したか、HPが危険域に達する者はあれど全損までに至った者は幸いにしておらず、一人として欠けることのなかったマフィア達は、大型ゴンドラにおいてテントの壁を構成していた木箱を運び出したのである。空箱と思いきや、皆一様に力の籠った足取りであり、如実に重量を感じさせる。それを筏型のゴンドラや水際に設置して、アドルフォが何やら革袋に詰まった液体をばらまいて倉庫に戻ってきた。
「準備完了ッス!」
「ご苦労、やはり君に任せると良い仕事をしてくれる」
「いえいえそんな〜……というか、これから何やるんスか?」
「まあ、有り体に言えば………そうだね………」
何やら言葉を選びつつ、傍にあった篝火を台ごと掴んで扉の内側に放って見せた。
篝火の触れた液体は引火し、徐々に火の手を木箱へと伸ばしてゆく。既に嫌な予感しかしないのだが、側近は鉄の二枚扉を閉じて閂をかける。
――――そして間もなく、扉の向こう側で猛々しい轟音が荒れ狂い、倉庫内の気温が急激に上昇した………気がした。
「………火遊び、としておこうか」
俺達は、最後にマフィアの狂気を思い知った。
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