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大海原の魔女
十話 W島救援作戦!
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ウロイはW島と本土の間の海峡で食い止めていますが, これ以上戦線が後退すれば 湾への進入を許すことになり、そしてそこから川を上られれば ポンメルン地方西部も危機に陥るばかりか,オーデル・ナイセ川の防衛線も崩壊しかねないと予測されています。ソレを防ぐというのが第一の理由です。」


「二つ目の理由はここ,ペーネミュンデにあるわ。」…だれなのですか?
 そう思っていたら、すぐに名前を教えてくれました。
「私は第53戦闘航空団(JG53)第七中隊中隊長ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中尉です。」

「何故JG53の方がここに? совет(ソビエト)…失礼,会議に出席しにきたようでは、なさそうだけど。」ヴェロニカが問いかけたのです。
「第七中隊は戦闘地域の後方であるウーゼドム島の哨戒を担当することになっているけど、実質的には このペーネミュンデ兵器実験場の警備が役割なの。
 ここはカールスラントの中でも特に重要な研究所で、多くの研究員の避難は済んだけれど、まだ世界でも貴重な設備や資料が残されているわ。少なくとも それらの移転が終わるまではネウロイの侵攻を食い止めなければならない…そのための救援作戦よ。」


「そして第三の理由は…こう言うのも何だけど、プロパガンダのためでもあるわね。」そのままミーナさんが説明します。
「開戦以来 負け続きだから、陸軍および空軍としてはこの作戦を成功させることで国民の士気を上げたいの。
 海軍が参加を希望したのも、創設したばかりの水上歩兵艦隊を活躍させたいがためなのよ。陸空軍上層部は 海軍の手は借りたくないのだろうけど、水上型ネウロイの相手は大変だから…」



「というわけで、私たちが呼ばれたわけだ。」 「エレン!もう会議が終わったの?」マリーケさんの言うとおり、早いのです。
「大まかな内容は上の方で既に決めていたからな。その割には長引いたが、まあウィーン会議にはならずに済んだ。(まさかリアルで『陸軍としては海軍の提案に反対である』を聞くとは 思っていなかったが)
 ところで,久しぶりだな、ミーナ。」「ミーナさんとも知り合いなのですか?」

「昔 家族や近所の家の人とウィーンに旅行したときに知り合ったの。「近所の家の人じゃなくてボーイフレンドだろう?」
 …これがそのときの写真よ。」 『むしされたですな』「うるさい。」
 写真に写っているのは、劇場の入り口に立つ 今よりも幼いミーナさんにエレンさん,そして真っ白な女の子 …誰なのです?

「あの、この子は「今から倉庫に行って、明日使用する兵器を説明する。Follow me(付いて来い)」あのっ、ちょっと…」
 結局女の子について聞けないまま、その日を終えたのです。


 ◇◆◇◆◇◆◇

 1940年4月30日

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