暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
キャリバー-Happy temperature-
第九十八話
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レインの余裕しゃくしゃくな仮面が剥がれていき、素のままの疑問の声が発せられた。もちろん、レインが使っていた二刀も手入れ済みであり、てっきり俺も一緒に行くものだとばかり思っていた。

「えっ、いや、でも……私、ショウキとリズにユウキ以外はほとんど初対面だし……迷惑じゃ」

「何言ってんの。ユウキもまた会いたいって言ってたし、一人でも戦力が多い方がいいに決まってるじゃない」

 何があるか分からない《エクスキャリバー》入手クエスト。キリトが難易度が高すぎて一時諦めるほどの所だ、確かに人数と戦力が多いにこしたことはない。リズの言葉に反論することも出来ず、ユウキを引き合いに出されたレインは、少しばかり言葉を失った。

「それとも、これから用事でもあるの?」

「……ない、けど……」

「ほら、ならさっさと皆に挨拶してくる!」

 リズはそのまま強引に話を進め、残っていたパーティーの仲間たちの武器を持たせつつ、レインに店先の集合場所へ行くことを促す。レインは困惑した表情を見せたままだったが、《エクスキャリバー》入手クエスト自体に興味がないことはないのか、そのままパーティーの仲間たちのいる場所に歩いていく。

「……迷惑、だったかな」

「本当に迷惑なら、手入れの手伝いもしてくれないさ」

 レインの足跡が聞こえなくなってから、リズがついつい漏らした弱音をフォローしながら、俺たち二人は最後の片付けに入る。その作業自体はあまり手間でもなく、さっさと終わらせ店をNPCに任せる準備を果たす。

「柄の材質ちょっと変えたけど、違和感ない?」

「……いや、すぐに慣れそうだ」

 ないと言えば嘘になるが。あまりにも手に馴染まない訳ではなく、振っているうちにすぐに慣れるだろう。早ければこの《エクスキャリバー》入手クエストにでも。

「しかし……手入れぐらいもリズじゃないと出来ない、ってのは少し不便だな」

「確かにそうね。あたしから離れられないわけだし?」

 手入れぐらい自分でしておきたい、という意図で呟いた言葉に、リズの軽口が飛んでくる。思ってもみなかったが、確かにこの日本刀《銀ノ月》を使う限り、リズから離れられないということになるか。

「じゃあ浮気はしないようにしないとな。この刀を使うためにも」

「ちょっと。カタナの方が先なわけ?」

 リズのジトーっとした視線がこちらを見上げてくる。もっとかっこいい台詞を期待していたのかも知れないが、思い通りにならなくておあいにく様だ。そんな気持ちでもって余裕ぶって鼻で笑うと、リズから『ぐぬぬ……』といった雰囲気が伝わってくる。

「手入れの仕方、あとで教えてくれよ。一緒にやろう」

「……ええ。一緒に、ね」

 ……どうやら今の台詞はリズ的に合格だ
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