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八神家の養父切嗣
二十三話:新たな始まり
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ものやな」

 ヘリの中で二人の試験の様子を眺めながらはやては楽しそうに笑う。
 そんな親友の様子に向かいに座るフェイトも朗らかな笑みを浮かべる。
 スバルとティアナはなのはが直々に見込みありと判断し、実際にこの目で力を確かめようとしたまさにダイヤの原石である。
 それ故に二人がかける期待も大きい。
 特にはやては、管理局内部に浸っていない若い人員を求めていたので期待もひとしおである。

「そうだね。まだ未熟だけど、その分勢いがある。なのはが目を付けたのも良く分かるね」
「そやな。なのはちゃんの人を見る目は確かやからなぁ」
「私も初めて会った時からなのはには心を見透かされてたし。やっぱり、なのはは凄いよ」
「その凄いなのはちゃんもフェイトちゃんも今では私の部下やからなぁ、腕が鳴るわー」

 ニコニコと笑いながら指を鳴らすはやてであったが何故かその視線はフェイトの胸を見ていた。
 その視線に気づいたフェイトはサッと手で胸を覆い隠し、警戒心を露わにする。
 少しばかり天然なところがあるフェイトであるが何度も胸を揉まれていれば学習もする。
 はやてはどこの中年のおっさんかと言いたくなるほどに隙あらば人の胸を揉むのだ。
 最初の頃は主な被害者はシグナムとシャマルだけで済んでいたが、今となってははやてと親しい人間に安息の地はない。

「はっはっは、冗談やって」
「日頃の行いのせいで全く信用できないよ」
「あ、ばれた?」
「うん。もう欠片も騙されないレベルで」

 手厳しいと頭を掻きながら笑うはやてにフェイトは一つ溜息を吐き、顔を引き締める。
 楽しいお話はここまでだ。今からは今後の部隊についての話でもしよう。
 フェイトの意図に気づいたのか、はやても笑うのをやめて真顔に戻る。

「レリック。何者かに明らかに意図して集められているロストロギア。機動六課はそのレリックを回収するために設立された、だったよね」
「そや、明らかに怪しいのに間隔が空いているせいで中々捜査本部が作られんかったレリック対策を専門にするために聖王教会のバックアップで作った私の夢の部隊や」

 つまることなくスラスラと以前にもした説明を繰り返すはやて。
 恐らくは何度も勧誘した相手に説明しているのでそれだけスムーズなのだろう。
 しかし、フェイトの執務官として鍛えられた目には少しだけ違和感が映った。
 夢の部隊だと言っているには余りにも感情の起伏が少なくスムーズ過ぎるのだ。
 はやての夢は彼女もよく知っている。
 それが実現したとなればもう少し感情に変化がみられるはずだ。
 しかも、自惚れかもしれないが自分は彼女の親友。今更感情を隠す仲ではない。

「私になのは、それにシグナム達まで、Sランク級の魔導士を良く集められたね」

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