第3章 リーザス陥落
第81話 ジオの町の再会
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た。逃げなかった。私が出来なかった事を……」
アイゼルがあの場から逃げた理由。それは、魔人になり、消えた筈の物が。捨て去った筈の物が自分の中に蘇ってきたからだった。
その想いがあの場からの離脱を促したのだ。
「私が……私が求めていた美しさ、とは……私自身が捨てたものを、追い求めているだけ、だったと言うのか……」
天を仰ぎ、アイゼルは目を瞑った。
だからと言って、アイゼルは いまさら全てを変える事は出来ない。全てを捨てる事など、出来る筈もない。
「……ホーネット様……ッ!?」
仕えるべき主も存在するのだから。
だが、何故だろうか……?
主君を思い浮かべると、その表情に陰りが見えてた気がした。
いや、影ではない。……主君の背後に何か……邪悪な何かを見た気がした。
そして、ホーネットの傍に佇む魔人の姿があった。
派閥の中でも重鎮とさえされる程の魔人。その表情の見えないローブの中の口元が確かに歪んで見えた。そして その男が仕えているのは……ホーネットではなく……。
「あ、アイゼルさまぁ……」
「ぅぅぅ……」
「も、もう いやぁ…… あいつら〜……こんど、こんどあったら……」
アイゼルの傍にまで いつの間にかやって来ていたのは 使徒達。
散々な目にあったのだろう。哀愁漂わせながら 半べそをかいていた。アイゼルを追いかけている間に見つけたため池で、必死に身体を洗い、火の魔法が得意であるガーネットが衣服を乾かし……、見事なまでの身嗜みを整える早さ。40秒もかかってないであろう。
「……気のせい、なのかもしれません。ですが……、確認をしなければ」
ただの気のせい。精神が不安定だった故に、白昼夢でも見たのではないか? とも思える程の揺らぎだった。
だが、心の何処かに引っかかるのも事実だった。
ホーネットは、不可侵派。
今回の1件。人間側から持ちかけた話であるとは言え、ホーネットの為であるとは言え、……この件は有り得ないだろう。ホーネットの為になるとは思えない。
あの声の言葉ではないが……、冷静に考えたら 紛れもない事実だった。
先代魔王の意志を継いでいるのだから。
「ガーネット。トパーズ。サファイア」
「「「は、はい!」」」
項垂れていた彼女達だったが、アイゼルに呼ばれた為 はっとしつつ、返事を返した。
「私は 一度……戻ります。リーザス城に。……色々と確認をしなければなりません。少し、手伝って頂けませんか?」
「わ、判りました」
「ノープロブレムです」
「アイゼル様の御心のままに……」
この戦いで最悪な目にあった3人だが、アイゼルの為に、と 気を引き締め直し、彼
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