暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第81話 ジオの町の再会
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た。
 それを見て、レイラは今度はしてやったり、ニヤリと笑うと指をユーリの胸部分に当てて、言った。

「ヒトミちゃんが一番喜ぶのは、ユーリ君と一緒にいる時。これ、絶対。……ね? じゃあ、また バレス殿との事も忘れないでよ?」

 レイラはそうとだけ言い残すと、颯爽と歩き去っていった。

「はは……。判ってる」

 ユーリは、ただただ笑って見送るだけだった。
 
 そして、ユーリは 宿屋内へと戻っていった。



 戻った時も 室内ではまだまだ、楽しそうな話が続いているが、とりあえず中に。

「随分と賑やかになったみたいだな」 
「あ、おにいちゃん、遅いよー! もー、どこいってたの」

 ヒトミは ややご立腹だった。でも、直ぐに笑顔になるのだった。
 かなみや志津香も同じだった。

 そう、笑顔に包まれている。例え、ここから先何があっても……きっと。この輪は崩れない。





――そう、信じていた。























〜ホッホ峽 周辺の荒野〜





 荒れ果てた大地。
 それは、戦争の爪痕と言っていい。ヘルマンとリーザスの戦争が、この景色を生み出していた。

 だが、そんな荒れ果てた大地に、1つの影が佇んでいた。

「………私は」

 佇むのは黒いマントを羽織った金髪の男。
 その黒衣のマントは 妖しく風に靡き、何処か美男子だと言うのに不気味さを際立てていた。
 だが、その表情だけは 雰囲気のそれとは全く違った。

 その正体は 金髪の魔人。……アイゼルである。

「動けなかった。……全く、動けなかった」

 アイゼルが考えるのは あの時の事。あの男(・・・)と対峙した時の事だ。

「まるで、あの時の事を……思い出す想いだ」

 彼が考える事。
 それは、はるか昔の話だ。人間にしてみれば 気の遠くなる程はるか昔の話。

「……人間全てが弱い。私は ずっと……ずっと、そう考えていた。いや、考えたかったんだ」
 
 脳裏に再び過ぎるあの言葉。


――人間を舐めるなよ。


 魔人となる前は、自身も人間だった。魔王に血を分け与えられ、魔人となり、強大な力を得た。その得た強大な力で 人間を蹂躙し続けた。立ち上がる意志を抗う意志を、人間の全てを奪い、操り続けた。

「自分だけじゃない。人間全てが、弱い……」

 その金色の柳髪が微かに揺れ、波打った。

「だが、あの男は……どうだった? あんなのは 人間じゃない。そう、人間では有り得ない。……だが、あの男は それまでに、あの存在(・・・・)になる前にもずっと、あの娘を……守る為、決して折れなかっ
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