魔物と君との間に割って入る
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はうめき声をあげる。
「あぐっ」
ガラスの割れる音はバッグに入っていたポーション類が割れる音だった。
団員が蹴り倒されたサポーターを起こしてバッグを確認するも、一つ残らず割れている様子だった。
「ちくしょう!」
アストレアファミリア団長はサポーターを見捨てる事は出来ないと判断し、振り向いて怪物を相対した。
その次の瞬間、怪物の投げた手斧が運悪く団長の腹部へ突き刺さった。
撤退のためにフルプレートの防具をパージしたのが斧の刺さった原因だったのだ。
それによってアストレアファミリアに動揺が走る。それを好機と見たか怪物達は各々、自分の得物を手に襲いかかる。
アンブッシュ気味の攻勢であり、更に防具をパージしたことも相まってアストレアファミリアの殆どが重傷を負うか、ダメージを受けた。
「うッ…」
「団長っ!」
「リュー、危ない!」
ヒューマンの少女もまた重傷を受ける。団長の重傷に動揺するエルフの少女に対するアンブッシュを身代わりに受けての事だった。
「あぐっ」
ヒューマンの少女が呻く。傷から鮮血がドクドクと漏れた。
「ルウ!」
エルフの少女はヒューマンの少女の名を呼び、気が動転したままポーションを探し、そして先程全て割れてしまっている事を思い出して絶望した。
何とかしようにも出来ることが考え付かないエルフの少女。
その間にも怪物のパレードは距離を詰めてくる。エルフの少女はそれを見て自らを鼓舞するために吠える。
「あ゛あ゛あああぁぁぁぁ!!」
目の前には怪物。怪物。怪物。美しいエルフの少女が鬼神の如き凄惨な表情を作り、それらをたった一人捌いていた。
「リュー!もういい!逃げてッ!」
「そうだ!お前だけでも逃げろッ!」
リューと呼ばれた少女の唯一無二の大親友であるヒューマンの少女、ルウの悲痛な声が狭い通路に木霊する。続いて彼女らと同じアストレアファミリアに所属している仲間たちが口々に逃げろと言う。
五体満足なのはリューだけだった。他のメンバーは殆どが致命傷と言って差し支えないダメージにあえいでいた。
複数の敵対ファミリアによる怪物進呈。三方向から複数の怪物のパレードが合流した様は言葉で表現できないほどの地獄絵図だった。
「リュー!!」
団長である大男が叫ぶ。その呼びかけに込められた意図に気付いてリューは頭を振る。
「嫌ですッッ!」
リューのヒステリックな声が響いた。それを受けて腹部に斧が刺さったまま戦って満身創痍の団長が立ち上がる。
「団長…?団長!やめてください!もう動けない程ダメージを受けているはずです!」
「なんのこれ…しきッ!…カフッ」
大男が吐血する。腹部へ刺さったままの手斧
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