第一話
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、伸びた刀身で竜の首を切るように降る。次の瞬間、竜の首がずれた。
重力力場系第三階位重力斬刀は、刀の先から双の反重力帯を単分子レベルまで縮めて放出し、内側のものを外側へと引きこんで切り裂くのだ。
切れる物無き咒式で首なし死体となった竜はそのまま倒れていった。
討伐依頼の報酬を得たガユス達は、ホテルの一室で顔を会わせていた。
赤髪のガユスは自身の携帯端末を見て、悲鳴をあげている。
「竜を倒しても、これっぽっちかよ!」
「二百才程度の赤子です。それなりの金子しかでませんよ」
黒髪のヤザワがルームサービスのメニューを見ながら、口を挟んだ。
そのまま電話を取り、幾つかの品を注文していく。ガユスも不満げながらも、ヤザワに自身の物も注文してもらう。
ため息をはきつつ、ガユスは目前の通貨素子をより分けていく。
「これは共同の資金として……之くらいか」
一度半分に分ける。残りをまた半分に分けて、互いの前方に移動させた。
自分の前にある通貨素子の塊を見たヤザワが、懐にいれる。
「もうすこしでエミネルドの著書が買えそうです」
「あいかわずの活字中毒だな。この書痴め」
「誉め言葉ですよ」
ガユスの嫌味を軽く流す。
「しかし、命を掛けるには、あまりにも割に合わない」
「拙者達もそれなりに有名になっていると思ったのですが」
ガユスの愚痴に、ヤザワも頷いた。
事実、彼等は互いに高位咒式士だ。ヤザワは十一階梯でガユスは十階梯である。小国の町程度には、ほぼいない存在とも言える。
「まあ、感謝はしてるさ。ヤザワの持っている希少本には、参考になる知識が山ほどあるからな」
「珍しい咒式が書かれているのも、ありますからね」
「入手先は聞かない方が良さそうだ」
ガユスの発言に、ヤザワはただ悪どい笑みを浮かべるだけだった。二人の間に気まずい沈黙が落ちる。
空気を変えようと、ガユスが言葉を重ねる。
「なんとか一攫千金みたいな事はないだろうか」
「あれは?」
ヤザワの提案に、ガユスは渋面を浮かべる。
「あれか。今時宝の地図なんて物は、信じるに値しない」
「まあ、ガユスが賭け事で手に入れたやつですからね」
ヤザワも同意するように頷いた。
「しかしですね。捨てるのも勿体ないですし、実際気になりませんか?」
彼自身地図の事が、かなり気になっているようである。
ガユスを説得しようと話を続けていく。
「確か書かれた場所は、此処からあまり遠くなかったはずですよ?」
「どうだったかな」
ガユスがバックから、二人の話題に上がっている地図を、取り出した。
それを懐から取り出した、携帯端末と共に机の上におく
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