暁 〜小説投稿サイト〜
されど世界を幸せに踊りたい
第一話
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同じ咒印組成式を組む。竜の 咒式が起きる前に、ヤザワの後ろに控えていたガユスの咒式が発動。咒式の発動機である魔杖剣〈断罪者ヨルガ〉が竜に向けられた。
 化学錬成系第四階位曝轟蹂躪舞(アミ・イー)が、緑竜を襲う。顔全体を傷つけられた竜が苦痛に顔を振る。爆風と粉じんにより、竜の視覚が一時的に喪失。その間にヤザワは片手を腰につけた魔杖短刀を抜いた。そのまま右手の刀を肩に担ぐように振りかざし、左手の短刀を眼前に突き出す。
 彼の魔杖刀〈一期一振〉から薬莢が排出。刀から青白い組成式が、ヤザワを覆う。
 次の瞬間、ヤザワは竜の足元に出現した。重力力場系第六階位瞬速転移(シュン・ポー)で重力量子を纏い、周囲の重力やプランク定数に万有引力定数を変換し、自身の都合のいい空間を作り上げた。これにより、周りの空間事光の速度の約80%まで近づいた速度で移動したので、瞬間的に表れたようにしか見えなかったのだ。
 だが、不運にもヤザワに暴れた竜の前足が振り下ろされていく。

 「お前も大概運がないな!」

 高速展開されたガユスの化学鋼成系第四階位鍛澱鎗弾槍(ウアープ)による、直径一二〇ミリメルトルのタングステンカーバイド製の砲弾が、ヤザワを踏みつぶそうとする前足を吹き飛ばした。

「ガユスほどではありませんね」

 ヤザワは言い返しながら、魔杖短刀〈骨喰藤四郎〉の引き金を引く。
 近くに何かいることを察したのだろう。竜は足元に咒式を素早く展開。ヤザワの周囲でTNT(トリニトロトルエン)爆薬を炸裂させる第三階位爆炸吼(アイニ)が発動。秒速6900メルトルの爆風と鋼の刃が彼を襲う。
 それを見ても、ガユスは特に慌てることなく、牽制の咒式を準備。特に心配していないようだった。
 それもそのはずだ。爆炸吼(アイニ)の煙が晴れたとき、そこから無傷のヤザワが現れた。
 彼の姿を確認したガユスが、独り言を零した。

「相変わらず便利だな。数法量子系第五階位|神出鬼没妖王(ヌラーリヒョン)は」

 仮に人体が100個の細胞で出来ているとして、その存在確率が1%だとする。その時に1回だけ攻撃を受けたとすると、100個のうち1個の細胞にだけ攻撃が当たる事となり、残りの99個の細胞は全くの無傷で済む。100個の細胞全てに攻撃が当たる確率は、100の100乗分の1である。
 魔杖短刀で発動された数法量子系第五階位神出鬼没妖王(ヌラーリヒョン)は量子力学的制御により、この存在確立を操作し絶対回避を可能にする恐るべき咒式である。
 だが、残念なことにヤザワにこの咒式はまだ難しく、瞬間的にしか発動できない。
 驚いている竜にとどめを刺すため、構えた杖刀〈一期一振〉の先に青白い光が咒印組成式を描く。
 刀の先から五メルトル程の景色を歪ませる何かが伸びた。
 そのまま
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