Chapter T:to the beginning
第03話:ネメアの獅子
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ハルトは敢えて待つ。それによって一分も経てば獅子の足は元に戻り、再び立ち上がっていた。
「どうした。一度やられた程度で怖気づいたか。先程までの戦意はどうした。」
そして、警戒するようにラインハルトの周りを歩いていた獅子が、発破をかけられて再び襲いかかって来る。
「遅い」
だが、良くも悪く"戦闘"に入ったラインハルトは加減をしない。高速で動きまわる獅子を避け、その神槍で獅子を地面に叩き付ける。更に獅子の顔面を神槍で殴打し、窪地の端まで吹き飛ばす。余りの威力に窪地が揺れ、獅子の牙は数本折れてしまっているが、その程度では獅子も終わらない。尾を地面に叩き付け、飛び散った大岩をラインハルトへ飛ばす。無論、この程度でラインハルトが怯む筈も無く、全ての岩が神槍に砕かれる。そしてその間に肉迫した獅子がラインハルトに突進し、下から掬い上げるようにしてラインハルトの身体が浮き上がる。その状態のラインハルトに襲い掛かる獅子と自分の間にラインハルトは神槍を挟むことで防御に成功する。そして両者は10メートル程度の距離で着地し向かう合う。
「素晴らしい。まさしく『ネメアの獅子』と言ったところか。」
かつて英雄ヘラクレスが12の偉業を成し得た時に最初に倒された獅子を示すそれは、まさしくラインハルトと相対するこの獅子にピッタリの名前だった。
「これから正にダンジョンを攻略するに相応しい趣向だ。では、英雄としての最初の偉業だ。」
両者が構える。ラインハルトは神槍の刃先に手を添え、獅子は自身の最速で以てラインハルトの喉笛を喰い千切らんと四肢に力を込める。
「それでは、いざ――」
そして、両者は同時に動きだす。
獅子が砲弾のようにラインハルトへと迫る。
ラインハルトが迎撃の構えをとる。
獅子の爪牙が襲いかかる。
ラインハルトの神槍が輝きを放つ。
そして―――
「実に素晴らしい闘いだった。我が神槍による死、その栄誉を誇ると良い。」
両者が交差した後、獅子の巨体が崩れ落ちる。頭から尾まで貫通した神槍の一撃によって、頑丈な皮と強靭な筋肉に覆われていた魔石が貫かれたのだ。
『黄金の獅子』の身体が塵と化していく。どうやら神槍の一撃によって魔石が完全に破壊されてしまったようで、魔石すら残らずに完全に灰燼と化していく獅子。さらにラインハルトは服には汚れ一つなく、首のかすり傷も既に治っており完全にノーダメージ。まさにラインハルトの圧勝だった。
???
「ハイドリヒ卿、お疲れ様です」
「よい。階層主は倒した。下に降りる。入り口を探せ。」
「Jawohl!」
そして、駆け寄ってきた五人にすぐさま指示を出す。
ここはあくまで89階層。残り90階層〜100階層は更に時間
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