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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十二話 真相(その2)
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、貴族、宮中でもそう思っているはずです。カストロプ公だけがわかっていない。先は長くないでしょう」
「先は長くないか」
「はい」

 カストロプ公が宇宙船の事故で死ぬのは帝国暦487年、今から二年後だ。そしてカストロプ星系の動乱が起こりカストロプ公爵家は滅ぶ。俺はこのカストロプ公の事故死は怪しいと思っている。この時期帝国内では平民たちの間で帝政に対する不満が高まっていたらしいのだ。

カストロプ公の事故死、その後の動乱と滅亡は平民の不満をそらすために行われた可能性が有る。あるいは、カストロプ公爵家はそのためだけに存続を許されていたのかもしれない。十五年も職権乱用をし続け、同じ貴族たちからも非難され続けたカストロプ公が何故財務尚書の地位にあり続けたのか。おかしな話ではないか。そして息子、マクシミリアンはなぜ反逆を起したのか? オーディンからの呼び出しに、行けば殺されると吹き込んだ人間がいなかったか?

 OVA版ではアルテミスの首飾りがカストロプ領に配備されている。アルテミスの首飾りとは簡単に配備できるものなのだろうか。ある程度事前に用意しなければならないはずだ。突発的に反乱を起したマクシミリアンに用意する時間は無かったろう。フェザーンが用意したとしか思えない。アルテミスの首飾りがあったからこそマクシミリアンは反逆に踏み切ったのではないだろうか。

もしOVA版通りに進行するならば、帝国中枢部とフェザーンの共謀の可能性があると思っている。フェザーンにとっては純粋に利益になり、帝国にとってもアルテミスの首飾りの威力を確認することが出来る。マクシミリアンは、いやカストロプ公爵家は嵌められたのだ。

「フォッフォッフォッ。やはり卿は聡いの」
やはりそうか。カストロプ公爵家の命運は決まっているらしい。
「困ったの、卿に何の礼も出来ん」
「では、幾つか教えていただきたい事があります」
「何かの」

「何故、前回の戦いで従軍を希望したのです? 失礼ですが、閣下はボケ老人ではない。あの艦隊の酷さはわかっていたはずです」
「フォッフォッフォッ。ボケ老人とは酷いの」
「申し訳ありません」

「試したのじゃ」
「試した?」
「ミューゼル少将じゃがの。どのような若者か見てみたのじゃ」
皇帝の命令か……。

「あの若者にどこぞの伯爵家を継がせようという話があっての。卿は驚いておらんようじゃな」
「いえ、驚いています。それで、いかがでしたか」

「美しい若者じゃな。能力も意思も覇気も有る。あれほど美しい覇気にみちた眼をわしは見たことが無い。うらやましい事じゃ」
「同感です」
「フォッフォッフォッ。卿とは反対じゃな。卿は覇気も野心も見せぬ。何を考えておるのかの」
「……別に何も考えておりません」
「……そうか」

「今
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