Side Story
無限不調和なカンタータ 7
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しでも長く生きるには、健康体として生活していける環境が必要不可欠。しかし残念ながら、私の体では例え貴女に庇護されていてもこの森での生活に長期間耐えられる自信がありません。だから、私を村で人間として生かしてください。集団生活で多少なり保証される生存日数と、いつ途切れるとも知れない不確かな森での時間。貴女から見れば僅かな差でしかないと思いますが、その時間差分を含めて私の歌を……私の総てを貴女の物にする事。許していただけますか? グリディナさん」
「……っ!」
信じらんない……。
こいつ、自分で自分を道具にしやがった!
私が求めてるものを正確に理解して、取引に利用してる!
確かに、この森で無力なカールを長く生かすのは難しいわ。
傷害から体を護るのは簡単だけど、人間は種種様様あらゆる病気になりやすい。病因の大半は人体にとって有害な菌や微生物の侵入に対する防御や拒絶反応が主で、実際のところ体と侵入者「どちらも正常だから」引き起こされるもの。音で正せる歪みとは違う。
大量に入り込んだそれらだけを狙って変質させるのはさすがに難しいし、ある程度の予防や症状の緩和くらいはできるとしても、根本的な治療となると私じゃ手に負えない。
だからって下手にカールの体を変えるのも駄目だ。特性じゃないカールの歌は、何を切っ掛けに失われるか判らない。
今日明日にでも何かしらの疫病を拾って倒れたら、その時点で終わりだ。
加えて、森の中には毒性植物が多い。
こいつの様子からして、ちょっと目を離した隙に食料認定でパクッとか……やりかねない。本気でやりかねない!
此処じゃ危険が多いのは事実だ。
いろんな意味で!
「あと、これは可能性の話なんですが……」
握る手に力が入ったかと思えば、急に目線が泳ぎ出した。頬が今まで見た中で一番赤く染まってる。
「………の……ら……」
「はっきり言いなさいよ」
何を躊躇ってるのか……もごもご小さく唇を動かしても、発音しなきゃ聴こえないっての!
どうせ、こういう時のこいつはくだらない事を考えてるんだろうけど。
大方、性的な……
「僕とグリディナさんの子供だったら、同じ力を持って産まれそうだなって。それなら、僕に何かあってもその子が……」
………………………………。
「グリディナさん?」
「…………あんたねぇ……」
空いてる右手で額を押さえつつ目蓋を伏せ、心の奥底から深く長く盛大に息を吐き捨てて。
カールの手をパシッと払い除ける。
目で確認するまでもなく、動揺した気配。
……ったく、軟弱男め!
「肌に直接触るのも恥ずかしがってるクセに、私を孕ませられるの? そーいうのは最低でも胸を鷲掴みにして平然と揉みしだく度胸を身に付けてから言いなさい!」
「は!? わ
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