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真田十勇士
巻ノ二十九 従か戦かその十三
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「物見にな」
「その時は忍としてですな」
「我等と共に行かれますか」
「そうされるのですな」
「そうする、敵を知ることも戦に勝つ条件じゃ」
 だからこそというのだ。
「この目で見る」
「畏まりました」
「では共に行きましょうぞ」
「そしてまずは徳川家の軍勢を見付け」
「どういった軍勢か見ましょうぞ」
 家臣達も応える、こうしてだった。
 幸村は自身の軍勢に戦の用意をさせながら十人の家臣達と共に上田を出てだった。信濃の山と路に入った。
 そしてそこでだ、徳川の軍勢を探すのだった。
 するとだ、二日程してだった。
 山の中にいる幸村のところにだ、十人が戻って来て言って来た。
「殿、いました」
「具足も旗も陣羽織も黄色の軍勢が上田に向かってきております」
「黄色か、間違いないな」
 その色を聞いてだ、幸村も言った。
「徳川殿の軍勢じゃな」
「左様ですな」
「徳川家の色は黄色です」
「その色は変わりがありませぬ」
「常に」
「そうじゃ、それこそが徳川家の証」
 全てを黄色に統一させたその軍勢がというのだ。
「間違いないわ」
「では、ですな」
「これよりですな」
「その軍勢に近寄り」
「数や率いる将を確かめますか」
「武具や兵糧の様子も」
「全てな」
 そうしたことも全て確かめるとだ、幸村は答えてだった。
 すぐにだ、十人にこう告げた。
「では今よりじゃ」
「はい、その軍勢のところに行き」
「細かいところまで調べますな」
「そうしますな」
「そうしよう、ただ徳川家には伊賀者が従っている」 
 幸村は忍のことも話した。
「この度もついているかも知れぬ」
「だからですな」
「忍の者には気をつけ」
「そうしてですな」
「軍勢を見ますな」
「そうする、伊賀者達がおっても見付からぬ様にな」
 幸村は家臣達にこのことを念押しした、家臣達は今度は無言で頷いた。そうしてそのうえで自らも行くのだった。
 徳川の軍勢は山と山の間の道を進んでいた、その様子はというと。
「辛そうですな」
「山道には慣れていませぬな」
「そのことは間違いないですな」
「東海は平地が多い」
 幸村は家臣達に言った。
「だからな」
「それで、ですな」
「山路に苦労している」
「そうなのですな」
「甲斐、信濃を領地にしていったが」
 それでもというのだ。
「徳川家はやはり東海、三河や駿河の兵が多い」
「平地で生まれ育った者達だからこそ」
「山路には慣れていませぬな」
「それで苦労しているのですな」
「そうじゃ、そしてそれだけ疲れる」
 慣れない道を進んでというのだ。
「上田に着く頃には結構疲れておるな」
「ですな、戦をはじめる前に」
「結構疲れていますな」
「これは我等にいいこ
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