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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第七話「倒す強さ、許す強さ」
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見ながら、リュカとビアンカもその怒りを霧散させていった。
「もう、悪い事はしないわね?」
「約束するんなら許してあげるよ」
「約束します!二度と悪事は働きません、貴方達の心に答える為にも頑張ってやり直してみます!」
「……じゃあ、仲直り」
リュカはバツが悪そうにそっぽを向きながらも親分ゴーストに手を差し伸べる。
彼はその手を両手で包み込む様に握り締め、泣きながら何度も「ありがとう、ありがとう」と繰り返し、その体はリュカの手から零れて来る光の粒に包まれていた。
―◇◆◇―
夜明けも間近に迫って来て、親分ゴーストは精神修行の旅に出ると言い、城を立ち去ろうとしていた。
レヌール王と王妃は心を入れ替えたのならこの城に留まって良いと言ったのだが彼は、
「いえ、ワシがこの城に留まっておると貴方様方はともかく、ワシが苦しめていた臣下の方々が安らかに休めぬでしょう。それにワシも世界を見て回りたいのです」
と言い、王やリュカ達も快く見送る事にした。
「おっと、そうじゃ。実は以前、この様な宝玉を見つけたのじゃが」
彼は懐に手を入れ、手の平大の黄金色に輝く宝玉を取り出した。
「これは王様達の持ち物では無いですかの?」
『いや、我が城に伝わる物では無いな』
王と王妃もその宝玉を眺めて見るが心当たりのある物では無かった。
「ふむ、ではどうするか……。そうじゃ、リュカ殿がもらってはくれまいか?」
「僕が?」
「うむ。ワシの様な者が持っておるよりもリュカ殿が持っておる方がふさわしいじゃろう」
「そうね、リュカの方が強かったもの。リュカが持っておくべきだわ」
「分かった、僕が持ってるよ」
宝玉を受け取ったリュカは大事そうに袋の中にしまう。
「じゃあ、ワシはそろそろ行くとしよう。王様、それに王妃様、色々とすみませんでした。リュカ殿にビアンカ殿もお元気で」
『うむ、今度こそ道を誤らない様にな』
『新たな道を進み始めた貴方に神の御加護があらん事を』
「今度悪さしたら何処までも追いかけて行くからね」
「ははは…肝に銘じておきますじゃ」
「おじいちゃんも元気でね」
「リュカ殿、ワシの名は「マーリン」と申します。何時か再び出会えた時、貴方のお力になれる様に頑張りますじゃ」
歩き出した親分ゴーストに手を振りながら別れを告げるリュカ。
そんなリュカを振り返りながら彼は眩しいモノを見る様な目で自分の本当の名を告げたマーリンは笑顔で手を振りながら朝焼けの中に旅立って行った。
「とにかく、これで約束のオバケ退治は終了ね。これで猫ちゃんも……」
そこまで言ったと思ったらビアンカの顔は段々と青くなって行き、ダラダラと汗も滝の様に流れて来た。
「ど、どうしたの、ビアンカ?」
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