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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第七話「倒す強さ、許す強さ」
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許さないかはその事を聞いてからの話ね」
『はい!話します、話します。実は……』
そして彼は語り始めた。
彼は元々魔界の辺境で小さな集落を作り、魔物や若い魔族達と共に
村長
(
むらおさ
)
として暮らしていた。
そんなある時、今までに無い強力な魔力を持つ大魔王「ミルドラース」が魔界全土を掌握した。魔物達や魔族達はその強力すぎる暗黒魔力の波動を受け、より強力な魔物や魔族へと変貌していった。
だが何故か自分だけは大魔王の影響を受けずにいた。
やがて、集落に住んでいた者達は大魔王に仕える為に村を離れて行く。
行かないでくれと頼んでみても見下した目で冷ややかに見返して来るだけで次々と去って行く。
従えていた筈の魔物達も自分よりも強力な力を得て、逆に攻撃を仕掛けてくる始末だ。
同じ様に大魔王の元に行ったとしても下手をしたら魔王軍の一員では無く魔物の一匹として扱われるかもしれない。
彼なりの小さな誇りがそれを許さなかった。
完全に行き場を失った彼は未だ大魔王の影響下に無い人間界に逃げる事にし、旅の果てに辿り着いたのが此処レヌール城だった。
その後はリュカ達の知っている通り、王様気取りで城に君臨していた訳だ。
「……随分とまあ、身勝手な話ね」
「いくら行く所が無くなったからって、死んだ人達を苦しめた事は許せない!」
『ひいいっ!ゴメンなさい、ゴメンなさい!』
あまりの身勝手さにビアンカとリュカが茨の鞭とブーメランを振り上げた時、扉の方から声が聞こえて来た。
『小さな勇者達、もう其処までにしてあげなさい』
『それ以上は退治では無く虐めじゃ』
その声に二人が振り向いてみると、其処にはレヌール王と王妃が立っていた。
「王様に王妃様、何で止めるの?」
「そうだよ、コイツのせいで王様達は苦しんだんじゃないか!!」
怒りが治まらないといった感じの二人に王と王妃はゆっくりと近づいて行き、王はビアンカの、王妃はリュカの頭を其々優しげに撫ると二人の怒りも徐々に落ち着いていく。
「王様?」
『儂等の為に怒ってくれるのは嬉しいし、正直儂等も此の者の行いは許し難い。だがな小さな勇者達よ、それでも「許す」という心の強さは必要だと儂は思うのじゃ』
『此の者が誤ってしまったのは力と心が弱かったから。此の者をこのまま倒すのは「力」の強さ、しかし私達はあなた達に此の者を許すと言う「心」の強さを持ってほしいのです。その強さはいずれあなた達が大人になった時に正しい道を示してくれるでしょう』
レヌール王と王妃がリュカ達に語りかける言葉を聞きながら、親分ゴーストはその瞳から涙を零していた。
こんなに大きな心を持つ二人に比べて自分は何と小さな存在だったのだろうと。
頭を下げ続けながら涙をボロボロと零す親分ゴーストを
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