第十一話
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各々の方針が決まった。小室と宮本の二人で親を探すのは不安はあるが、こればかりは二人が決めた方針であるため俺達が異議を唱える事は出来ない。なお、毒島も小室達に同行する事を皆に伝えている。毒島の方針に小室は、関係ないからついてくる義理はないようと伝えたが、ある程度の人数がいなければ誘導は出来ないと伝える。
毒島の説明を受けて、確かに一理あると小室と宮本は納得して毒島の動向を認めた。残りの俺達は、この屋敷に残る事を選択する。
小室達だけで行動するのに不安も心配もあるが、悪いが俺は好き好んで危険地帯に行く度胸はない。自分の力を発揮できる環境に酔いしれている事実もあるが、俺は分別なく暴れて死ぬほど酔狂でもない。危険は出来るだけ避けれるなら避けると今はそう思っている。
そう思いながら、俺は高城家が保有している裏庭の日本庭園を歩いている。和と洋が見事に調和している見事な家だなと改めて思う。そう思っていた時に、平野が目の前にいた。
「あ、田中先輩」
「よう平野」
平野が一人で日本庭園の所でポツンと立っていた。まあ、それから特にやることもないので、歩きながら平野と喋る。
「あの時。小室達に反論したとき、僕は怖かったです」
「どうしてだ?」
確か、小室達と武器に対する優劣を決める事で平野は反論していたな。
「高城さんのお父さんが刀だけで<奴ら>の首を落としたとき、何か認めたくなくて、自分がまた役立たずになるのが怖くて……」
「お前は銃が使えるだろ」
「分かってます。でも、僕は銃だけが取り柄で、弾がなくなったら学校に居た時みたいに、何も出来ないで、そこにいるだけの存在になってしまう事が僕は嫌なんです」
平野が何も高城の親父さんの行為に、効率問題で反論したわけではない。平野は、学校に居た時はクラスメートからいじめを受けており、紫藤からも罵られていたようだ。それで反論も出来なくて、自分の行動を示す事が出来なかった。だが、世界が崩壊して今まで脚光を浴びなかった自分の趣味と特技である銃を扱う事で、自分が役立たずではない、こんな自分でもチームの一員として役に立つことを見つけた。
だからこそ、世界崩壊前の自分を嫌悪している平野は、自分の存在意義を銃を扱う事に依存している。だから、高城の親父さんの行為を認めたくなかったのだろう。
「僕はちびでデブで体力もありませんから、銃以外の取り柄がありませんから」
「鞠川先生よりはマシだろ」
「それ、先生に酷くないですか?」
少なくとも体力がない事はウソだ。軍用のバトルライフルを抱えて、その他にも予備弾倉も加えればかなりの重量になるもんだ。その中で激しく動かないまでも、普通に動いて息切れしないんだから一般人よりは体力はあるだろう。
平野
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