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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十話 疑心
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」
そう言うと准将は微かに苦笑した。冗談ではなく本気らしい。
「キルヒアイス少佐、ミューゼル少将にお伝えください。これからの少将にとって大切なのは誰が味方になってくれるのか、誰を味方にすべきなのかを見極め、そして味方を得る事だと。それがミューゼル少将の力になるでしょう」
「はっ。御教示有難うございます。必ずミューゼル少将に伝えます」
私はそれを機にヴァレンシュタイン准将のもとを辞した。本来なら私はヴァレンシュタイン准将にラインハルト様の味方になってくれと頼むべきだったのかもしれない。彼が味方になってくれればリューネブルク少将も味方になってくれるだろう。有能な用兵家、陸戦隊指揮官をラインハルト様の味方に出来たのだ。しかし私はそれをしなかった。彼に断られるのが怖かったのか?、それとも彼を味方にしたくなかったのか? あるいはその両方か? ヴァレンシュタイン准将は私を見送ってくれた。その顔には残念そうな色も、何かを期待する色も無かった。彼は何を考えているのだろう…。
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