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届かぬ声

[8]前話
 1月13日、水曜日の朝。
「里帆、周りの音には、十分注意するのよ。」
玄関で靴を履いていたら、何回もお母さんにそう言われた。
「大丈夫だよ。あ、マフラーかして。」
お母さんに預けていたマフラーを受け取り、丁寧に巻く。
「横断歩道は・・・」
「横断歩道は左右の確認、人と話すときは右に行く、でしょ。
もう、わかってるよそれくらい〜」
難聴になってから何度も聞かされている言葉に、私はため息をつく。
「じゃあ、いってきまーす。」
「帰り道も気をつけてね〜」
こうして、私の長い一日は始まるのだった。

        ♪♪♪♪

「じゃあ、里帆さんは、壮眞くんのところで。」
その日の朝。私の耳の関係で、私の席だけ移動。
「え、ちょっと待って。里帆いなくなったら、うち一人なんだけど。」
私の前の席のかなでは、不満げに、口を尖らせる。
「うん・・・。ってゆうか、私男子の列なんだけど。何で女子じゃないの?!」
・・・なんて文句を言ってたら、あっという間に朝学活終了。
<まじかい!!>
みんな、私のこと
「フレンドリー」
とか、
「誰とでも話せる」
とか言うけど・・・。さすがに、
「後ろ振り返ったら、男子!男子!男子!」
ってゆーのは、怖いから!まじで!
そんなこと思ってたら、願いが通じたのか・・・
「里帆さんと弘斗くん、変わってもいいですよ。」
そう、伝言的な感じで言ってきたのは、学年主任の先生。
弘斗くんと交換したら、私は最終的に、廊下から二番目の列の一番前になった。
うれしいことに、女子の列!!
救われたって思ったけど・・・
<あれ??>
女子の列はいいものの・・・右隣・・・これは、さすがに・・・
「里帆、直の隣じゃん!!」
休み時間のとき、めっちゃキラキラスマイルでそういったのは、柚葉。
柚葉は、学年で一意を争うほどのかまちょ。
「何で柚葉がそんなにうれしそうなの?」
「里穂の気持ちになってみた。」
「かまちょ。」
私がスパッと言うと、「え?!今、かまちょ関係ないでしょ?!」と言う柚葉の声が聞こえた。
<右耳聞こえないから、直と隣でも意味ない気がする・・・>
次の席替えまであと少ししかないけど、
これからがすごく楽しみになった私なのでした・・・・

        ♪♪♪♪
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