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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十三話 会見
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る事を告げるとグライフスが眼を瞬かせた。
「……有難うございます。……ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯の墓前で御報告もしなければなりません。戻らせていただきます」

グライフスは誠実で思慮深い男だ。帝国に戻ったら侍従武官にでも推薦しよう。そして宮中でブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯の遺族の傍に居て貰う。きっと良い侍従武官になる筈だ。彼女達を誠心誠意守ってくれるだろう。フリードリヒ四世も安心するに違いない。

大赦が行われれば他の亡命者も戻ってくるだろう。生まれ故郷に戻れば大人しくなる筈だ。変に居場所を無くすと暴れ出す可能性が有る、それよりはましだ。だがランズベルク伯アルフレッド、奴は別だ。必ず捕え全てを喋って貰う。その後どうするかは被害者達に任せよう。娘を誘拐された母親、夫を、父親を失う事になった女達に……。



宇宙暦 799年 6月 15日    ハイネセン  最高評議会ビル  ジョアン・レベロ



ホアンと伴に最高評議会議長室に行くとトリューニヒトが笑顔で迎えてくれた。
「おめでとう、レベロ。何時かは君が最高評議会議長になるとは思ったが私と君との間で引き継ぎ作業を行う事になるとは思わなかったよ」
「この時期に最高評議会議長になる事が目出度いとは思えんな」
「そう言うな。君達のどちらかがなるしかないんだ」
まあそれもそうだな。ホアンの顔を見ると肩を竦めるような仕草をした。私が議長として帝国との折衝を、ホアンが議会対策を、正しかったのかな、この選択は……。

講和条約の批准後、トリューニヒトが議長辞任を表明した。議員達の間で議長を巡って争いが生じるかと思ったが殆どそんな動きは無かった。あっさりと私が議長になる事で纏まった。三十年自由惑星同盟は存続する、とはいえ帝国の保護国としての三十年だ。帝国の出方が不透明な今、議長になるのは危険だと思ったようだ。今後、帝国の出方が穏やかだと判断出来れば議長職は魅力のあるポストになるが厳しければ魅力のないポストになる。候補者を探すのも容易ではない事態になるかもしれない。

引き継ぎはそれほど煩雑ではなかった。これまで一緒にやってきたのだ、二言三言とは言わないが短時間で終わった。
「では我らが新しい主の所に行くかね? 御挨拶をしなければならん。うん、大変だな。我々は同盟市民の他に帝国という主を持つわけだ。これは二股というのかな?」
ホアンがウンウンと頷いている。

「ホアン、楽しそうに言わんでくれ」
「いかんかね、私は楽しみなんだが。君だって会ってみたいと言っていたじゃないか」
「それはそうだがもう少し分の良い立場で会いたいよ」
私がぼやくとトリューニヒトが笑い出した。
「贅沢だぞ、レベロ。私に比べればずっとましだろう」
トリューニヒトの言葉にホアン
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