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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十三話 会見
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でしょう。しかしそれで満足出来なければ貴方は不平家になる。将来の有る若者を育てるには相応しいとは言えない、そうでは有りませんか?」
ヤン提督が口元に力を入れるのが分かった。怒っている?

ヴァレンシュタイン元帥とフィッツシモンズ大佐が帰った。ヤン提督は結局元帥に返事をせず元帥も無理に答えを求めなかった。ヤン提督はずっと考え込んだままだった。僕も答えを訊けなかった。どうなるんだろう……。



帝国暦 490年 5月 25日    ハイネセン  ホテル・カプリコーン エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



ヤンのところからホテルに帰るとグライフスが来ていた。軍服ではなかった、同盟市民が着る様なスーツを着ている。穏やかな表情の参謀タイプの男だ、不自然には見えなかった。挨拶をして呼び出しに応じてくれた事を感謝するとグライフスが戦勝を祝ってくれた。阿る感じは無かった。その事が心地良かった。

「同盟軍には加わらなかったのですね?」
俺が問うとグライフスが淡い笑みを浮かべた。
「誘われましたが断りました。情報提供については已むを得ず応じましたが……」
「仕方がないでしょう。ここに住む以上家賃代ぐらいは払わないと」
「家賃代ですか。まあ、そうですな」
今度は苦笑を浮かべた。困ったな、余り面白くなかったか。

「グライフス大将が亡くなられたブラウンシュバイク公の依頼で貴族連合軍から離脱した事を知っています。さぞ御辛い事でしたでしょう。御心中、お察しします」
「有難うございます」
俺が頭を下げるとグライフスも頭を下げた。なかなか出来る事じゃない、自分の名誉を捨ててブラウンシュバイク公の依頼に応えたんだ。俺なら出来たかどうか……。余程に信頼関係が有ったのだろうな。グライフスにそこまでさせた事、それだけでブラウンシュバイク公が愚物で無かった事が分かる。

「おかげでエリザベート様、サビーネ様を無事に保護する事が出来ました。陛下も、そしてアマーリエ様、クリスティーネ様もその事を大変喜んでいますし大将に感謝しています。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯もヴァルハラで感謝しておいででしょう」
俺が言うとグライフスが眼を閉じて何かに耐えるような表情を見せた。
「……最後の最後で逃げる事で御役に立つとは……、情けない事です」
振り絞るような声だ。泣くのではないかと思ったが閉じた目から涙が零れることは無かった。慰めはしない、それが出来る男はヴァルハラに行ってしまった。

「この後批准書を交換すれば講和が、そして帝国による統一が約束されます。帝国はそれを祝し大赦を行う予定です。グライフス大将が帝国に戻っても何の問題も有りません」
「……」
「皆様方、大将が戻るのを待っていますよ」
フリードリヒ四世、御婦人方、御息女方が待ってい
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