第12話 武神VS冬木の虎
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むのだが百代は違う。
「クッ、フフ」
大河の胴を喰らい軽く吹き飛んだ百代は、見事に着地する。
あれだけの一撃を受けても直、まるで効かなかったように立っていられるのは百代が修得した『瞬間回復』のおかげだ。
一定以上の耐久を越えるダメージを受けた時、かなりの気を使って負傷した部位を瞬間的に回復させる技だ。
ただ相当な気を使うので、百代並みに莫大な気をその身に持ちえていなければ、実戦中には薦められない燃費の悪い技でもある。
武神と謳われている彼女をもってしても、最高28回しか使えないらしい。逆を言えば28回も使えるわけだが。
その内の1回だけを使って無事立っている訳だ。
「それが噂の瞬間回復、すごいわね」
「凄いのは貴女じゃないですか、大河さん。今では最低限の鍛錬しかしていないって言うのに、あの力強さ。瞬間回復を使ったのなんて、揚羽さんとの決闘以来ですよ!」
瞬間回復を使わなければならなかった強者との戦いに、百代は意気高揚としていた。
そんな嬉しそうに不敵な笑みを浮かべる百代とは対照的に、大河はいたって冷静沈着だ。
「楽しそうに笑うのは百代ちゃんの自由だけど、今は勝負中よ」
「なっ!」
対峙している百代は、自分の前で霞のように消えて行く大河を見て驚く。
そうして目の前から完全に消え去ってから、背後から大河が来る。
「ふっ」
それを裏拳を撃ち込んで霞へと消し去る。
(矢張り残像、そして―――)
そして間髪入れずに、全方位から大河の残像が百代に襲い掛かる。
百代はそれらを火の粉を払うように消し去っていく。
「何のつもりですか、大河さん。残像だけではダメージは来ません、よ!!」
気を込めた両腕と闘気を使って風を起こす様に回転させて、全方位から常に襲い掛かって来る残像をまとめて消し飛ばした。
当然その影響により、百代を中心にちょっとした砂嵐が起きた。
そのせいで、一子を含む見学者に被害――――は出ていない。
2人の戦いによる余波で周囲に被害を出さないために、10人ほどの修行僧たちにより、事前に結界を張っていたのだ。
まぁ、ちょっとした砂嵐程度に後れを取る程、川神院の修行僧達は柔くはないが。
そして当の本人たちの1人である百代は、自分が結果的に起こした砂嵐の中で目をつぶりながら気配察知の感覚を研ぎ澄ませていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
先程からの大河の戦法に対応するために、気配察知を高めた上で、残像でかく乱させないためにわざと砂嵐も晴らさないでいるのだった。
とは言え相手である大河自身も、自分に隙が出来ないと攻撃してこないだろうと考えていると、何と大胆にもこの砂嵐を突っ切り、自分目掛けて突
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