第12話 武神VS冬木の虎
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・?」
大河が取りだした木刀は、柄から切っ先の全てに至るまで虎柄だった。
この珍妙な木刀を見た事があるのは鉄心とルーを始めとする40歳前後の修行僧だけで、百代や一子を含めた若い世代は今日初めて見る代物だった。
初めて見る者達は、冬木の虎の異名を持つ元武道四天王の藤村大河の武勇伝だけは聞いた事は何度もあるが、彼女の得物が虎柄の木刀であるかは初耳だったのだ。
色んな意味で奇妙な空気が漂う中で、大河は気合の一斉と共に身を引き締めた。
「さて、やりましょうか!」
そして何故か満面の笑顔だった。
そんな大河に周りの空気も相まってか、百代も言いよどむ。
「えっと、大河さん」
「ん?」
「いえ、えっと、その・・・」
「何かしら百代ちゃん?」
百代としては初見の虎柄の木刀が気になるが、大河からすれば何を言い淀んでいるのか全く気付いていなかった。
しかしそれ以上に早く始めたいのは百代も一緒なので、置いておく事にした。
「いえ・・・・・・お願いします」
「こちらこそよろしく!」
未だに虎柄の木刀が気になっている者達がいる中、鉄心が審判を務める様に前へ出た。
「互いに準備はよいな?」
「ああ」
「はい」
「今回は正式な真剣勝負では無いからの、形式は省略するぞい。――――では、始めい!」
鉄心の合図に間髪入れずに突っ込む百代。
「まずは川神流無双正拳突!?」
しかし、いつの間にか百代よりも早く大河は接近していたのか、既に眼前にまで居る上に、木刀を百代目掛けて振り下ろそうとしていた。
「――――きーーー!!」
ならば尚更にと、百代は先ほどよりも早い動きで大河の木刀目掛けて正拳を打つ。
しかしそれは結果として空を切る。
「残像ッ!?ぐあっ!」
百代が打つと、振り下ろしていた大河もろとも霧散した。
如何やら闘気を込めた残像を、いち早く百代目掛けてぶつけただけの様だ。
しかも百代にも瞬時には察知不可能な程の存在感のある残像をだ。
そんな百代が一瞬驚いている隙をついて、いつの間にかに真横に来ていた大河の横薙ぎをもろに喰らった。
大河は始める前から今の方針でやると決めていた。
大河の戦法は基本的に相手の隙をついて戦うテクニカルタイプだ。
その戦法を好むのは大概パワー面に劣る者が好む傾向だが、実は大河はパワータイプだ。
しかし真正面からのぶつかり合い等猪でも出来る、真に極められたテクニックタイプにそのままではいずれ敗れ去るだろうと昔指摘された事があるので、相応の年月の末相手をかく乱してその隙を突いた上でのパワータイプに許された渾身の一撃を叩きこむのスタイルに落ち着いたのだ。
大概の相手はこれで沈
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