第12話 武神VS冬木の虎
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それは結果でしかなく、士郎は只説得されお客を見て、求められるモノを提供したに過ぎない。
故に、そうして士郎は今日も鉄を鍛ち続ける。
−Interlude−
大河は約束の時間10分前に川神院に辿り着いた。
門前には今すぐにでも始めたいとワクワクしている百代に軽く緊張している一子、それに何時も通り笑顔を忘れない師範代のルーに、頭部の骨格が年々ぬらりひょんに近づいて来ている総代の鉄心が揃って待っていた。
「お久し振りです。鉄心総代、ルー師範代」
「うむ、お主も息災そうで何よりじゃ」
「久しぶりだネ!大河ちゃん!」
「それに貴女が川神一子ちゃんよね?意外とこれまでちゃんと話した事が無かったから、事実上初めましてかしら?」
「は、はい!川神一子です!今日はお姉様との稽古の見学に同席させて頂き――――」
一子は緊張のあまり最後まで言い切れずに噛んだ。
「そんなに緊張する事ないのよ?百代ちゃんと違って、私なんて元武道四天王と言うだけで、今じゃ穂群原高校の一介の英語教師ってだけなんだから」
「は、はい!」
しかしそれでもなお緊張の色を消えない一子に、微笑ましく思う大河だった。
「大河さん、今日はよろしくお願いします!」
「ええ。でも稽古以上真剣勝負未満の微妙な線とはいえ、今じゃ最低限の鍛錬しか続けてないからお手柔らかにね」
「そんな、私こそ勉強させて頂きます」
謙虚な言葉を使っているにも拘らず、百代の顔は飢えた獅子の様に獰猛さが露骨だ。
そんな百代に苦笑しつつ、鉄心に粗品を渡す。
「鉄心先生。つまらないモノですが」
「雷画からか。すまんのう」
「あっ、いえ、その・・・」
鉄心の言葉に言いよどむ。
何故いい読むのか鉄心以外の3人は首を傾げたが、鉄心だけは短い沈黙の後に溜息を吐いた。
「年を考えぬセクハラ爺に、渡す土産がもったいないとでも言っておったか?」
「ア、アハハ・・・」
鉄心の言葉を受けた大河は苦笑いを浮かべる。
「自覚あったんですカ?総代」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
さらには補佐のルーから何の含みも無い素の言葉を受けて、鉄心はぐうの音も出なくなる。
「ククク」
最後に百代の噛み殺したような笑いをトドメとして、鉄心だけ両肩を深く下げながら、中へ入っていくのだった。
−Interlude−
鉄心たちは大河を連れて、朝の鍛錬に使う庭に来ていた。
とは言っても大河は途中の百代の部屋を借りて、道着姿に着替えたわけだが。
そして持参した木刀袋から取り出したのは何と――――。
「え?」
「虎・・・柄・・・
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