第12話 武神VS冬木の虎
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いが、駆けつけて来た。
まるで自分――――私を励まそうとしてくれるように。
そして藤村邸に戻ると、藤村組の組員、両親に御爺様と、皆が私を笑って迎えてくれた。
その時に気が付いたのだ。
私には士郎も含めて大切な人達がこんなにも残っていると。
切嗣さんが亡くなった事は確かに悲しいが、この気持ちを胸に思い出を大事に歩いて行こうと復帰したのだ。
今でこそ口喧嘩が絶えない(基本的には何時も大河が悪い)姉弟の様な間柄だが、今でもあの時の事に嬉しく思っているし感謝もしている。
正直、面と言えずに気恥ずかしいが。
そうして大河は何時もの様に、ご近所さんたちに挨拶しながら川神院に向かって行った。
そんな大河を気配感知で行った事を確認した士郎は、自身の魔術工房に居た。
士郎の魔術工房は衛宮邸の土蔵の中に入口があり、地下へと続いている。
士郎の魔術工房は複数の部屋に分かれており、一番最初の部屋は大河の様な一般人にも見せてもいい士郎の仕事部屋になっている。
士郎の仕事とは刀匠である。
此処で少し話がずれるが、士郎は自分が魔術師である事を、引き取られる時に話していた。
しかし雷画自身は魔術が実在する事も知っていたし、士郎を引きとった切嗣の事も魔術師である事を見抜いていた。
にも拘らず自分の眼力に自信のあった雷画は、士郎切嗣共に身を寄せてきたことを許容したのだ。
そして切嗣が亡くなってから1年も経過していないある時、雷画は士郎を驚かせようと衛宮邸に不法侵入して探したところで士郎の魔術工房に入ったのだ。
その魔術工房棚などには、大小長短の違いあれど全てが刀剣類が置かれていた。
眼力に自信のある雷画から見てどれもこれもが業物並みの品質と見抜いたが、それ相応に長く生きてきたにも拘らず、全て初めて見るモノばかりだった。
中には凝った装飾品が付けられた西洋剣などもあり、美術的価値があるのではないかと思えるほどのモノもあった。
そんな風に年甲斐も無く、驚愕と興奮に包まれている所に士郎に見つかったのが最初であった。
これについて訳を聞くと、自分の魔術特性としての結果が周りにある刀剣類だと言うのだ。
魔術師の研究成果とは言え、これほどの品を埋もれさせるなど勿体無いと感じた雷画は、士郎に何度も説得を試みて、商売の一つとして始めたのが切っ掛けだった。
その日を境に士郎は、刀匠EMIYAと言う知る人ぞ知る刀剣類専門の鍛冶師として世に出るようになったのだ。
あれから今日まで約4年半。
士郎の打つ刀剣類は高いモノであれば相当な額と評価され、今では十数億ほど稼いでいる。
まぁ、関東圏内を治めている藤村組は勿論、世界一の大企業と言っても過言では無い九鬼財閥からすれば、大した事のない額でしかないが。
しかし
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