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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第一話「港の別れと約束」
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「な、何だよデボラ」
「だってそれじゃリュカは王子様って事になるじゃない。パパスおじさんが王様って事なら解るけどリュカが王子様?……ぷっ、あはははははははははっ!」
「これ、デボラ」
「姉さんってば。わ、私はちっとも可笑しくないと思いますよ、リュカさまが王子様でも」

照れながらそう言うフローラ、そして其処にこの船の船長のゼブルがやって来た。

「はっはっはっ、賑やかですね、ルドマン様」
「おおゼブルか、どうかしたか?」
「はい。今日は良い風が吹いていますので、昼頃にはビスタ港に到着出来そうです」
「そうか、ではパパス殿達とももうお別れですな」
「……え?」

ルドマンのその言葉にさっきまでの笑顔が一転し、フローラは表情を曇らせ、デボラもまたそんなフローラを心配そうに見つめている。

「そうですな、長い様で短い船旅でした。リュカ、そろそろ荷物をまとめておきなさい」
「う、うん」

そう言われ、フローラ達を横目で見ながらもリュカは自分達の部屋へと戻っていった。
呆然とその姿を見つめていたフローラだが、視界からリュカが消えるとその瞳からぽろぽろと涙が零れて来た。


―◇◆◇―


ビスタ港に到着し、船と港の間に掛けられた桟橋代わりの板を渡るリュカとパパス、その後ろでフローラは泣き続けていた。

「ちょっとフローラ、いい加減泣き止みなさいよ」
「だ、だって、だって…、らってぇ〜〜。ふえぇぇ〜〜ん」

リュカはデボラに慰められても泣き止まないフローラに近づくとそっとその頭を撫でてやった。

「ふえ?」
「泣かないでよフローラ、きっとまた会えるからさ」
「…ほんろ?」
「うん、ホントに。僕はおっきくなったら父さんの様に世界中を旅して回るのが夢なんだ。フローラにもその時会いに行くよ」
「ほんろに…ホント?」
「約束するよ」

そう言いながらリュカが小指をフローラへとさし出すとフローラはその指に自分の小指を絡めた。

「約束…ですよ、リュカさま」
「うん、また会おうねフローラ」

指切りを交わす二人を周りの皆は暖かな目で見守る、流石のデボラも此処ではからかう様な事はしなかった。




―◇◆◇―



「リュカさまーー!リュカさまぁーーーっ!」
「元気でねーーー!フローラーー!」

港を離れ、遠ざかって行く船の上からフローラは何度もリュカの名を呼びながら手を振る、リュカもまたそれに応えて手を振る。
お互いの姿が、船が港が見えなくなるまで二人は手を振り続けた。


「今度はいつ会えるかなぁ?」
「少しの辛抱だ。暫くはサンタローズに腰を落ち着ける予定だが次の旅にもリュカを連れて行ってやろう。その時はフローラの住むサラボナにも寄ろう」
「うん!約
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