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八神家の養父切嗣
二十一話:愛ゆえに
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いう、女を愛する男の姿。
 それを受け入れるのは彼女にとって間違いなく幸せになるだろう。
 だが、アインスの答えは決まっていた。

「いいや、許さない。なぜなら―――お前が幸せになれないからな」

 愛する男の幸せにつながらないのなら、例え心の底から望んだことであっても否定する。
 衛宮切嗣は決して逃げることはできない。何故なら、自分自身が彼を追いつめているからだ。
 今だってそうだ。犠牲に報いる成果を出せない自分が赦せないから女を愛せないでいる。
 彼はどこまでも弱い。自分を赦すことができないのだから。

「お前はきっとお前自身を断罪者として殺すだろう。そんなことを私は許さない」
「……その方が僕にとってはいいかもしれないよ? 少なくとも君は死なないからね」
「お前が私のせいで犠牲になるのは私が耐えられない」
「君は僕のために犠牲になっているのに?」
「ああ、だからこれは私のわがままだ。女のわがままを許すのが男の務めだろう?」

 悪戯っぽく笑うアインスに切嗣は悲しみと絶望を抱く。
 もう変えられない。彼女は自分の為にどんな犠牲をも許容する。
 それなのに、自分は彼女に何一つ返すことができない。
 幸せになってほしいのに、自分と居ることで彼女は傷ついていく。
 こんな男を愛してしまったが故に自ら滅びの道に歩を進めてしまった。
 そのことがどうしようもなく悲しかった。

「やっぱり……僕に君を愛する資格なんてなかった。君を幸せにできない僕なんかに……」
「いいや、私は幸せだ。……愛する男の腕の中に居られるのだからな」
「アインス…ッ」

 声を震わせながら切嗣は痛いほどにアインスを抱きしめる。
 自分の全てを肯定してくれる女性。それ故にこんな歪んだ願いすら許容してしまう。
 機械になろうとした人間を愛した、人間になろうとした機械。
 ひどく美しく、歪んだ関係。だというのに彼女に自分は返すことができるものが一つしかない。
 
 ただ一言―――愛していると。







おまけ〜在りし日の公園の風景〜

このおまけは設定とか完全無視したギャグ時空のおまけですので普段のおまけとは関係ありません。ただ、感想欄であったやつを書いてみただけです。ではどうぞ。




 ある男達の話をしよう。
 これは相容れぬ存在でありながら親交を深めた男達の懐かしき話である。


「くくくく! 私の名前はドクターJ! 世界征服を企む『セクレタリー』の天才科学者。世界征服の第一段階としてこの公園から支配させてもらおう!」
「でたな、ドクターJ! この公園は正義の味方、衛宮切嗣…じゃなかった、バーガーキングが守る!」
「やはり君が私の前に立ち塞がるかね、バーガーキング。いいだろう、
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